第七話 炎の剣と氷の刃その六
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「だがだ」
「それがだな」
「引かれた」
「そして僅かに刀身が見えた」
「それならば」
「若しかするかも知れない」
驚きの顔のままの言葉だった。
「この二人、抜く」
「剣も刀もだ」
「二人共抜くかも知れない」
「そしてこの世界を救う」
「そうしてくれるか」
「彼等が」
「間もなくわかる」
二人に話をした神官もだ、かろうじて冷静さを保ちつつ言った。
「そのことがな」
「うむ、抜き切るか」
「最後の最後までな」
「レーヴァティンも天羽々斬も」
「そのどちらも」
神官達は誰もが注視していた、二人の抜く姿を。二人共抜くにはかなりの時間をかけていた。
久志は抜きつつだ、こんなことを言った。
「くっ、熱いぜ」
「当然だ」
神官の一人、赤い法衣の者が言ってきた。
「それは世界を救う炎を宿した剣だからな」
「それだけあってか」
「抜くことは容易ではない」
「俺が抜く為にある剣でもか」
「そうだ、それでもだ」
赤い法衣の神官は言った。
「私がお仕えしている神はロキだ」
「炎の神様か」
「炎の力は只でさえ強い、しかもそれが世界を救うだけのものとなると」
「相当なものでか」
「抜くだけでも大変だ、しかしだ」
赤い法衣の神官は久志にさらに言った、久志は確かに抜くことに四苦八苦している、しかし僅かずつだが次第にだった。
剣は抜かれていっていた、銀の剣身が次第に出て来ていた。
「そなたは抜いていっている」
「ああ、少し抜くだけでもな」
「辛いな」
「熱い、それに重いぜ」
抜きつつだ、久志は歯噛みする顔で言った。
「とんでもなくな」
「それがその剣の力だ」
「俺が最後まで抜けるかどうかか」
「剣自身が見極めようとしてるのだ」
「そうか、じゃあな」
「抜ききるか」
「そうしてやる、その見極めが正しいってわからせてやるぜ」
言いつつだ、久志は剣を抜いていく、闘う様な顔だがその顔でだ。徐々に抜いていっていた。
英雄も闘う顔になっていた、刀をさらに抜こうとする。しかしだった。
容易に抜けない、そして彼も言った。
「冷たいな」
「そうだな」
英雄には青い法衣の神官が言ってきた。
「その刀を抜くことは」
「しかも重い」
久志と同じ様なこともだ、英雄は言った。
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