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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三十八話 軍法会議
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。言ってみれば軍の最高責任者が判決を下す、そういう形をとるのです。

今回、原告はロボス元帥、被告はグリーンヒル大将、ヴァレンシュタイン大佐になります。容疑は抗命罪です。私はグリーンヒル大将もヴァレンシュタイン大佐も間違ったことをしたとは思っていません。しかしそれでも不安です。

もうすぐ地下の大会議室で軍法会議が始まります。今日で七回目ですが今回はヴァレンシュタイン大佐が証言を求められています。第三回では私も証言を求められました。

残りはグリーンヒル大将とロボス元帥だけです。軍法会議も終わりが近づいています。私は今回、傍聴席で裁判の様子を見る事にしました。ヴァレンシュタイン大佐の宣誓が始まります。緊張している様子は有りません、表情はとても穏やかです。

「良心に従って真実を述べ、何事も隠さず、偽りを述べないことを誓 います」
声は震えていません。大したものです、私の時は緊張で声が震えました。私だけじゃ有りません、私以外の証言者もこの宣誓をするときは緊張したと言っています。

「偽りを述べると偽証罪として罰せられます、何事も偽りなく陳述するように」
判士長であるシトレ元帥が低く太い声で忠告し、ヴァレンシュタイン大佐が頷きました。私の時もありましたが身体が引き締まった覚えがあります。

宣誓が終わると早速検察官が質問を始めました。眼鏡をかけた痩身の少佐です。ちょっと神経質そうで好きになれない感じです。大佐を見る目も当然ですが好意的ではありません。何処か爬虫類のような目で大佐を見ています。

無理もないと思います。これまで開かれた六回の審理では原告側はまるで良い所が有りません。いずれも皆、ロボス元帥の解任は至当という証言をしているのです。特に“ローゼンリッターなど磨り潰しても構わん! 再突入させよ!” その言葉には皆が厳しい批判をしました。検察官が口籠ることもしばしばです。

「ヴァレンシュタイン大佐、貴方とヤン大佐、ワイドボーン大佐、そしてミハマ大尉は総司令部の作戦参謀として当初仕事が無かった、そうですね?」
「そうです」

「詰まらなかった、不満には思いませんでしたか?」
「いいえ、思いませんでした」
大佐の言葉に検察官が眉を寄せました。不満に思っているという答えを期待していたのでしょう、その気持ちが二百十四条の行使に繋がったと持っていきたいのだと思います。

「おかしいですね、ヴァレンシュタイン大佐は極めて有能な参謀です。それが全く無視されている。不満に思わなかったというのは不自然じゃありませんか?」
ヴァレンシュタイン大佐が微かに苦笑を浮かべました。

「仕事をせずに給料を貰うのは気が引けますが、人殺しをせずに給料を貰えると思えば悪い気持ちはしません。仕事が無い? 大歓迎です。小官には不満など有り
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