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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第八十八話 これが両雄の初対決になるでしょうか。(その1)
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れることはない。ブラッドレー大将自身もそれを承知しているのだが、彼は敢えてそれを行うことにしたのだった。
「例のイーリス作戦を発動する機会は今だと思いますが。軍部としてはその発動の是非を議会に問いたい。」
議場がざわめいた。イーリス作戦の詳細は誰もがわからなかったが、大筋は誰もが知っていた。すなわち同盟領内における迎撃作戦である。
「しかし・・・それは、いきなりすぎやしないかね?まだ主要惑星においては何らの準備もできていないし――。」
「それを含めて判断するのがあなたがたの役割でしょう。軍部としては他に手がない。」
ないわけではないですが、と内心つぶやきながらブラッドレー大将は腕を組んだ。後方に座していて高みの指示ばかり飛ばす評議員たちに、第五次イゼルローン要塞攻防戦以上の薬を一発お見舞いしてやりたい思いがあったからである。

 それを横目で見ていたシドニー・シトレ大将もまた、彼に倣って何も言わなかったのは言うまでもない。

 評議員たちの会議は「小田原評定」とでもいうべきもので、結論が一向に出ないまま1日を過ぎた。この1日という時間が自由惑星同盟側にとってはどれほどマイナスになり、逆に帝国軍にとってはどれほどプラスになったことかは言うまでもないだろう。
 ブラッドレー大将はシドニー・シトレ大将と協議し、こうなることを見越してあらかじめ回廊付近に駐留させておいた主要艦隊に予備動員を下した。アスターテに駐留する第十艦隊、ヴァンフリートに駐留する第十二艦隊、エル・ファシルに駐留する第八艦隊、ティアマトに駐留する第五艦隊である。さらに第三、第二艦隊についても予備動員を下して緊急時に備えさせてもいる。
 
 前線からの急報がもたらされたのはその翌日だった。帝国軍側の大攻勢により、自由惑星同盟側は大きく後退を余儀なくされ、回廊を離脱したというのである。
 大筋としてはそうなるが、詳細としてはそれのみでは到底表現することのできない戦いが起こっていたのだった。

* * * * *
 帝国軍の要塞が後退していると聞いた瞬間、同盟軍は欣喜雀躍したに違いなかった。少なくともラインハルトから作戦を聞いた帝国軍の首脳陣はそう思っていた。
 全軍を再編成し、前衛を任されたミッターマイヤー艦隊は左後方にワーレン、右後方にアイゼナッハを従え、要塞をリング状に取り囲んでイゼルローン要塞がアーレ・ハイネセンより離れるのをじっと待ち構えていた。
「作戦開始まで、10秒!!」
オペレーターがカウントを正確に読み上げる中、ミッターマイヤーの右手が掲げられるのを艦橋の幕僚たちは見守っていた。その右手が振り下ろされようとする方角には、無数の光点が規則正しく並んでいる。帝国軍の大艦隊が到来したことで、すでに自由惑星同盟側の艦隊も戦闘配置についていたのである。

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