幸せな時間
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記憶を改竄するのなら、"城崎湊"という記憶を消してちょうだい。変わりに……」
美鈴さんは普段見せてくれる笑顔で、俺の目線に合わせるよう屈んでからゆっくりと話した。
「美琴ちゃんの"義兄"として生きてくれない?」
「え?」
俺は訳が分からなかった。
何故、危険になる理由である俺を匿うのだろうか。
しかも兄として。
「な、何言ってるんですか……?俺は、美琴を危険な目に……!」
「でも、それは君の意図的にやった事じゃないわ。それに、みなくん、君も"被害者"じゃない?」
──この人は……俺にまで……。
そして、話し合いの結果。
美琴の記憶を改竄する事は両親から許可を得た。
理由は、まだ幼い娘に幼馴染みの母親が死んだ理由が自分だという事実を隠くすため。
そして湊自身がそれは、どうしても嫌だった。
改竄するのは城崎家とのこと。
その改竄した部分を埋めるために湊が兄もいう架空の記憶を埋めることになった。
この改竄をしてくれたのは、既にlevel5となっている『心理掌握』の食蜂操祈だ。
彼女は頷いてからリモコンを取り出し、寝ている美琴の頭に近付けた。
俺は自分の能力を使い、美琴の無意識に出ている電磁波を消す。
全員が見守る中記憶の改竄は成功し、この事は美琴に黙っている事が約束された。
そして、記憶の改竄が成功してから2ヶ月後……。
「お兄ちゃーん。」
2階から聞こえてきた声に俺は反応した。
「んー?」
「運ぶの手伝ってー。」
「りょーかい、って危ない!」
俺は急いで階段を登り、後ろに倒れそうになった義理妹である美琴を支えた。
「わぁ!?、お兄ちゃんありがと!」
美琴は満面な笑みで返してきた。
「う、うん。気を付けなよ?」
俺は今"御坂湊"として過ごしていた。
2ヶ月前までは、目の前の少女を幼馴染みとして1人の女の子として見ていた美琴が今は義理の妹。
いつかは、彼女に本当の記憶を戻さないといけない。
その時、俺の存在を否定される可能性だってある。
そんなことを考えながら、俺は毎日過ごしていた。
学園都市内の寮に住むのは中学生からだった俺達は、小学生の間は母さんと共に住むことになった。
そして、2ヶ月前に起きた研究所爆破事件は過去の話へと世間が終わらせ、既に人々の記憶から消えつつあった。
──多分、俺にとってこの時間は能力を得る前の城崎家と同じほどに幸せなんだろうな。
俺を匿ってくれた美琴のお父さんとお母さん。
今では、俺のお父さんとお母さんである。
「お兄ちゃん、ぼーっとしてるよ?」
「あ、何でもないよ、これを運ぼ
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