愛しているから
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ように顔を見上げる。すると、そこには自身を鋭い眼光で見据える、長い黒髪におだんご頭の女性が立っていた。
(こいつって確か・・・)
彼はその人物のことを知っていた。以前、同じように街で買い物をしていた時、その街に備え付けられていた魔水晶ビジョンで見掛けた顔。
(剣咬の虎のミネルバ・・・だっけ?)
その当時力を付け始めていた魔導士ギルドの中心的人物。その人物が目の前にいることに、ちょっと驚いたが、自分には関係ないと関わらないようにと避けて通ろうとする。
「幻竜のグラシアンだな」
「!!」
脇を通り抜けようとしたその時、肩を捕まれるグラシアン。彼は名前を呼ばれて驚いたが、ミネルバは動じることもなく話を続ける。
「妾は剣咬の虎のミネルバ。そなたを勧誘するためにここまで来た」
「勧誘?」
一体何のことを言っているのか、訳がわからずに入るとミネルバが詳細を説明し始める。
「妾は最強のギルドを作りたい。そのためには、そなたの力が必要なのだ」
「お断り」
ようやく状況を理解したところでの即答。彼には他に選択肢などあるわけがなかった。犯罪者である自身が正規ギルドに所属することなど、できないとわかっていたから。
それに、今一緒に入る仲間たちを裏切ることなど、その時の彼には絶対にできなかった。
「・・・んん」
その日の夜、食事を終えて眠っていると、不意に目が覚める。辺りはまだ暗く、もう一眠りできそうだったが、一度水が飲みたいと川へ下っていく。
その時に彼は出会った。ある生物に。
「なんだあれ?」
川の付近で翼を広げ、空中に浮いている動物。一瞬鳥かとも思ったが、シルエットが明らかに違うことから、興味を持った彼は駆け寄ってその正体を確認しようとする。
「猫?」
そして姿を確認すると、思わずそう呟いた。その正体は、どこからどう見ても猫だったからだ。
「トラみたいな模様だけど・・・猫でいいんだよな?」
黄色と黒の縞模様になかなか確信を持てなかったが、気になって仕方がない彼はバレないように接近し、両手でガッチリと掴まえる。
「ギャッ!!」
捕まえられた猫と思われる生物は、グラシアンの姿を見てビクビクとしている。
「お前・・・猫なの?」
「猫だよ!!たぶん・・・」
なぜ何事もなく会話をできるのか自分でも不思議で仕方がなかったが、その時の彼は何かを感じ、その生物に色々と質問したりしていた。
それから、しばらくするとあることを思い出す。
(そういえば妖精の尻尾の火竜って、こんな感じの猫連れてるんだよな?)
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