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FAIRY TAIL〜水の滅竜魔導士〜
愛しているから
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先程窓から見えたその姿を、ようやく近くで捉えることができた彼はどこか嬉しそうな表情を浮かべる。

「久しぶりだな、ベリー」
「うん。ホント・・・久しぶり」

しばしの沈黙。懐かしい仲間との再会にも関わらず、二人の間に流れる空気は非常に重い。理由は明白だった。仲間だったとはいえ、一方は相手を裏切り、裏切られた者。その二人が和気藹々と話をすることなどできるはずもなかった。

「その・・・なんて言えばいいのかな・・・」

飛んできたのはいいが、何から話せばいいのかわからず、言葉に詰まる。

「グラン」

固まっている青年を呼ぶと、自らの体を預けるように抱き付く少女。これにグラシアンは驚いたが、葛藤の後彼女を同様に抱き締める。

「会いたかったよ、グラン」

涙混じりの声に何も言わずにただ抱き締める青年。それからしばらくその状態のままでいたかと思うと、彼女はゆっくりと彼から離れる。

「元気そうでよかった」
「まぁ、おかげさんで・・・」

彼女を裏切ったことにより自身は正規ギルドに・・・それも、当時の最強ギルドへと所属することができたグラシアン。彼女たちの尊い犠牲のおかげで、彼はフィオーレを代表する魔導士へとなった。


















今から三年前、ある五人組の盗賊団がフィオーレを賑わせていた。

「あっちに逃げたぞ!!」
「進路を塞げ!!」

前方を逃げていく二人の男。それを追い掛けていく評議院。その様子を建物の影から、別々の場所で三人の人物が観察している。

「そろそろだな」
『じゃ、打ち合わせ通り行きましょ』
『了解』

持ち運びできるほどの大きさの魔水晶(ラクリマ)で打ち合わせをした後、魔力がなくなったそれを証拠隠滅のために粉砕する紫髪の男と、茶髪の女性と、桜髪の女性。
三人はそれから、それぞれの持ち場へと動いていく。

タッタッタッタッタッ

「こっちだな」
「そうだな」

全速力で走っているにも関わらず、一切息を乱すことのない二人の男は、目的の曲がり角の前に来ると、体を切り返しそこに入り込む。

「バカめ、そこは行き止まりだ」

二人が逃げ込んだその先は行き止まりとなっている。敵のミスによって、世間を騒がす盗賊たちを一網打尽にできると思った評議院たちは、そこに雪崩れ込むように入っていく。
しかし、その直後にその場に広がっていた景色に思わず言葉を失う。

「キャー!!助けてー!!」

何もないはずのその場所で響き渡る女性の悲鳴。その正体は、先程逃げていった二人の男が、人質として捉えた人物のものだった。

「そこで止まれ!!」
「こいつがどうなってもいいのか?」
「「「「「なっ・・・」」」」」

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