巻ノ八十九 水を知りその一
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巻ノ八十九 水を知り
海野の修行は続いていた、村上のそれは荒行と言ってもまだ足りないものであった。だがその修行の中でだ。
海野は実力を日に日に高めていてだ、村上も言った。
「間もなくじゃ」
「村上殿の水術をですか」
「皆伝rとなる」
「それでは」
「うむ、皆伝の後もな」
「さらにですか」
「鍛錬に励み」
そしてというのだ。
「その日に備えることじゃ」
「さすれば」
「水はあらゆる場所にある」
「海に川、湖に沼に」
「堀とな」
「それこそあらゆる場所に」
水はあるというのだ、そして水があればだ。
「水術は使えまするな」
「その通り、だからな」
「皆伝の後も鍛錬を続け」
「強くなることじゃ」
あらゆる場所で使えるからこそというのだ。
「御主は忍術も相当じゃしな」
「はい、忍術と合わせ」
「戦う様にな」
「それでは」
「そのうえでな」
村上は海野にさらに言った。
「御主の殿を助けよ」
「そのつもりです」
海野は今も共にいる幸村を見て村上に答えた。
「それがしも」
「そうじゃな」
「我等は生きる時も死ぬ時も共です」
「だからこそじゃな」
「殿に全てを捧げております」
まさに死ぬ時は同じだというのだ、その場所も。
「ですから」
「あくまで主の為に戦うか」
「この忍術と水術で」
「よい言葉じゃな、ではな」
「これからも修行をお願いします」
「ではな」
村上も応えてだ、荒波の中での修行の日々を過ごしてだった。海野はその中で水術をさらに極めていき。
ある日だ、遂に村上にこう言われた。
「皆伝じゃ」
「遂にですか」
「うむ」
そうだという返事だった。
「よくやった、今までな」
「有り難うございます」
「礼はよい、それでじゃが」
「それでとは」
「すぐに帰るのじゃな」
「はい」
幸村が答えた。
「そうさせて頂きます」
「やはりそうされるか」
「九度山に」
この山にというのだ。
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