第43話 赤とオレンジの秘密と甘え
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終えてくたくたになって戻ってくる彼女らのことを考えてスポーツドリンクを冷やしたり、夕飯の献立やお風呂の清掃などを任された。
流石真姫の別荘......というかお金持ち。
冷蔵庫を開けたら多彩な野菜だけでなく、牛肉の塊があった。テレビやお金持ちの家でよく見るあの大きなお肉。9人で食べるには非常に多く、普通に余らせてしまう未来しか予測できない。
そんでもって数か月前と同じ光景をお風呂場で見る。
温泉に来たつもりはないのに脱衣所の広さ、横開きの扉を開けた先には自然の景色を一望できる屋外の温泉もといお風呂。
足場も石とコンクリートで塗り固められていて、不覚にもしゃがんではじっくりその感触を楽しんでいた。
「ここに住んでしまったら、なんだかダメな人間になってしまいそうだ」
働く働かないの話じゃなく、便利すぎて金銭感覚の変貌的な意味で。
しかも今回は全員の個室があるというオチつき。
それでも部屋が余るのだからどうしようもない。
俺は開けた冷蔵庫を閉じて、うんと軽く背伸びをする。
「こえぇよ、お金持ちは」
世の中はすべて金。
そんな下衆な言葉を無意識に浮かべてしまった。
「どうして?」
俺の言葉に反応し、聞き返す誰かがいる。
穂乃果という確信があるから、俺はそのまま振り向かずに返事をする。
「だってさ、温泉に食材に部屋の数。もうさ、世の中金っての見せつけられてる気がすんだよな」
「まぁね〜、穂乃果もびっくりしたよ」
「つかなんなん?西木野家って。そこらへんにある総合病院の院長がお父さんだろ?医者ってそんな金持ちになれるもん?」
「穂乃果に聞かないでよ......。わかるわけないじゃん」
「だよな〜、って待て穂乃果。お前何してる」
背後から近寄ってくる気配があった。
それはいい。だけど会話の途中から穂乃果は俺の脇下に手を入れ、そのまま包み込むようにしてお腹あたりをぎゅっと抱きしめてきた。
先日の穂乃果の告白以降、特段何か甘い展開があったわけではないから冗談....のつもりではないが、特に気にせず今日まで接してきた。
穂乃果にもそれといった変化がなかったから、こんな急な展開にドギマギしてしまう。
俺だって一応は思春期男子高校生の端くれだ。嬉しくないわけなんてない。
「ん〜、えへへ♪ぎゅってしてるの。ずっとずっと大くんにこうしてみたかったんだ」
「だ、だからってこんな急には」
「いいじゃん......穂乃果は大地くんが好きなんだから。前にも、言ったよ?」
だけど、といいかけたところで思考が止まる。
背中に柔らかい。まるでクッションみたいな二つの弾力を感じるのだ。
当然、それは何を表
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