第43話 赤とオレンジの秘密と甘え
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指摘したり何も思わなかったわけではなかったが、真姫のサンタを信じているという件からずっとこの調子である。
頬を必死に膨らませ大声で笑わないようにしているが、そろそろ限界という様子がうかがえる。
「ほら、暖炉の中の壁を見てみなさいよ。ちゃんとサンタさんが来た証拠もあるんだから!!」
ふんす、と得意げに指で指し示す先には『Merry Christmas!Maki!!』と多彩なインクか何かで描かれて、ご丁寧にサンタのイラストまで描かれたサインがあった。
それを見た穂乃果と凛は、真姫に視線を戻してから再度、そのサンタの残したサイン(と思われるもの)に顔を向ける。
そして二人の表情は。
……なんとも言い難い微妙な笑顔でお互い顔を見合わせていた。
「真姫が……サンタを信じてr───」
「にこちゃんだめっ!!」
「それ以上はだめよにこ!!」
真姫の幼少期からの大切な大切な思い出をぶち壊そうとする部長の言葉を遮り、口を閉じてリビングから追い出そうとしているのは絵里と花陽。
「ちょっと何よ!少しくらいいいじゃないの!」
「にこちゃんそれを言ったら犯罪だよ!」
「いくらなんでも酷すぎるにゃ!!真姫ちゃんの人生を左右する一言になるかもしれないにゃ!!そんな一言をにこちゃんが下しちゃうの!!??」
凛がなんとも大げさに言っているが、でも確かに今まで信じてきた人が実は存在しない人物でしたなんて言われるのは酷な話だ。
ある意味の死刑宣告である。
これを聞いた場合真姫はどう反応するか。
そう考えた瞬間俺はすぐに行動に示していた。
「だってあの真姫よ?真姫がー!」
「とりあえずにこ。お前は黙っとけ」
うん、実によくわかる。
俺やにこだけじゃなく、他のみんなも同じことを考えているかもしれない。
だけど、残酷な事実を本人の前で直接告げるのは心苦しいし、告げられた時の真姫の気持ちを考えると今にこを黙らせる必要がある。
……ということで俺は、持ってきたリュックサックからガムテープを取り出す。
〜☆〜
まさかの一致団結、異議なし。
その後のにこの処分はガムテープで口を封じ、20分ほど彼女の部屋となる個室で放置という罰でひとまず落ち着いた。
乙女の夢を壊そうとした報いである。
罰を執行している間、各自準備に取り掛かる。海未、真姫、ことりが各自いつもの新曲作りに精を出しているなか、残された花陽、凛、希、絵里、そして穂乃果は体幹トレーニングやランニングをしていることだろう。
そして、俺はというと。
いつものごとく、練習を
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