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μ's+αの叶える物語〜どんなときもずっと〜
第43話 赤とオレンジの秘密と甘え
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るもの!暖炉使ってたら入ってこれなくなるかもでしょ?だから毎年クリスマスが近くなると私とパパでいつもここを掃除してるのよ」


訪れる静寂。
 鼻高々に宣言する真姫と対照に俺達はお互いに顔を見合わせて目のキャッチボールで『どうしようか?』と会話していた。
その『どうしようか』というのは当然『サンタなんていないんだよ』という事実を伝えるかどうかの事である。

 まさかこの年になってまだサンタという架空の人物を信じている子がいるとは誰が予想できただろうか。しかもその子が真姫である。
 あの真姫がサンタという人物がいることを信じ、サンタの為に暖炉を使わずに毎年掃除している。
それだけサンタのことが好きで、やってくることが楽しみで仕方ないのだ。

 というかそもそもこの年になるまで隠し通してきた真姫のご両親もすごい。
陰ながらの『娘の夢を壊したくない』という思いと努力を感じる。

 うろ覚えではあるがなんとなくサンタを信じていた時のことは覚えている。
その気持ちがわかるからこそ、俺は真姫の無垢な夢を壊したくないと思い、無暗に突っ込んだりしなかった。



「素敵ですね」
「去年は何をサンタさんから貰ったの?」

希の問いに、真姫は更に目を輝かせて彼女に詰め寄る。

「サンタさんのプレゼント持ってくるあの袋ってすごいのね!!去年は隣の部屋に置いてあるグランドピアノを頼んだけれど、ちゃんとあったのよ!!私が寝てる間に!」
「そ、そうなのね……」
「きっとサンタさんはどんな重いモノも持ってこれるようにトレーニングとかしっかり積んでると思うのよ」


 真姫にサンタのことを語らせたら止まらない。
希もそんなつもりはなかったと言いたげに苦笑を浮かべて話を聞いている。

「すごいね真姫ちゃん。サンタさんのことになると人が変わったようにしゃべるんだもん」
「(でも高校生にもなってサンタさんって、真姫ちゃんもまだまだ子供にゃ)」


 
穂乃果の耳元で毒を吐く凛は平常運転。
真姫に聞こえなかっただけでまだよかったけど、たまに現れる凛の毒舌発言に穂乃果もドキリとした表情に変わる。

とはいえ俺も思わなくもないことだし、それは真姫の可愛らしい要素の一つと言えるので特に何も言わずに黙っていることにした。


「わぁ〜サンタさんはとっても素敵でカッコいいんだね!」
「そうよ!サンタさんにできない事なんて何もないんだから!」






 そんなことりと真姫の二人のやり取りを見てる中、肩を上下に動かしていかにも”笑いを堪えている”ようなにこが、ついに我慢できなくなったのか。


「……真姫、その年でサンタ───」


 真姫本人には絶対に聞かれてはならない事を呟いている。

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