第43話 赤とオレンジの秘密と甘え
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自分の頬をふにふにと触るその仕草にちょっと心臓が高鳴る。
「た、多分さっきまでトランプで盛り上がって……そ、それでちょっとだけ興奮してたからだよ! うん!」
ふんすと鼻でも鳴らしてそうな勢いで誤魔化していることりに、俺も笑顔を向けて「そうなんだな」と頷く。
大方、海未の顔芸でも炸裂しているのだろう。
アイツは普段の言動に反して、予想外にも顔に出る。だからさっきから、らしくもなく海未の声が響くのだろう。
「やっぱり海未も年相応、ということね。知ってけど」
「え?何か言った?」
なんにも、とそれだけ返事をして急にまぶしくなった外にまた視線を向ける。
〜第43話 赤とオレンジの秘密と甘え〜
新幹線を降り、そこからバスで移動。
近場のバス停で降りてそのまま歩くこと十数分。
「……知ってた」
俺は。
俺達は俺達の目の前にそびえたつ大きな屋敷を見て、足をすくませていた。
二度目。これで真姫……というか、西木野家の財産に驚かされることになったのは本日で二度目だ。
建物に基本色はホワイト。
特に目立った汚れや傷もなく、不在時でも業者がかなり丁寧に管理していると思われる。まるで新築同様のそこで一晩過ごすのは非常に恐れ多い。
「なによ」
「ナンデモゴザイマセン」
「片言よ。そんなに珍しいかしら?」
さも当然のように言うからお金持ちの思考回路は理解できない。
相変わらずめんどくさそうに髪を触る真姫に誰も何も言わず、ただ建物を眺めるばかり。
窓もやたら多い。
一体何部屋あるのか気になるが、聞いたところでどっかの誰かが気を失いそうな部屋数だと容易に想像できるので、同じく何も言わない。
隣の凛は『でっかいホテルにゃ〜』と感動してたが、違う。
断じてホテルではなく、一軒家である。規模が違うだけでこんな山奥にホテルなんてあってたまるか、なんて内心思う。
とはいえ、こうして真姫の別荘を借りることで宿泊費を浮かせることができたのも事実だ。
文句の一つも無く、ただ圧倒されるばかりだ。
「ねぇ時間無いから早く荷物置いて練習始めない?」
「そうね。今回は一泊二日の予定だからのんびりしているとやらなければいけないことができなくなるわ」
ただ、如何にも『見慣れた』、『当たり前』といった口調で呆然と立ち尽くする俺らに声をかける絵里と真姫は急かすように前数人の背中をぐいぐいと押し始める。
「わ、わかったってば〜!そんなに押さないで!」
「はいはいにこちゃんも犬みたいに唸ってないで歩く歩く。邪魔よ」
「スーパーアイドルを犬に例えるのはどうなのかなぁっ!!!」
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