暁 〜小説投稿サイト〜
IS〜夢を追い求める者〜
最終章:夢を追い続けて
第48話「“対話”」
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束さんを親として呼んでいるのは違和感があるな。

「...時間です。そろそろ、目を覚ます時です。」

「じゃあ、行こう?」

「...ああ。」

 白の手を取り、俺は現実へと戻されていく。





「.......。」

 現実へと戻り、俺の視界には自室の天井が見える。
 ふと、手を伸ばしてみる。

「...自由に羽ばたく...か。」

 俺の、本当の“夢”。
 幼い子供が抱くような、荒唐無稽な叶えられそうにない願い。

「我ながら、なんて馬鹿らしい願いなんだ...。」

 だけど、そんな夢だからこそなのか...。

「...目指したくなってくるな。」

 “出来損ない”と、“落ちこぼれ”と蔑まれたからなのか...。
 そんな、途方もない願いに、俺はやる気を出していた。

「...ま、とりあえずは目先の事だな。」

 ユーリの事や、会社の事、学園の事と色々とどうにかするべき事がある。
 ユーリに関しては、近いうちに桜さん達が何か仕掛けてくるだろう。

「それだけじゃない。...IS学園は、今は恰好の獲物だ。」

 代表候補生など、有力や有力になりそうな人物の集まっているのがこの学園だ。
 おまけに、ISに恨みを持つ男性も少なくはない。
 それなのに、防衛力の要であるISが使えなくなったのだ。
 ...何かしらの“悪意”に狙われる可能性が高い。

「..........。」

 ふと、俺の心の中に一つの感情が浮かび上がってくる。
 ...この、感情は...。

「....恐れているのか...。」

 いつもは、桜さんが近くにいた。
 実質一人だった時もあるが、それでも桜さんはどこかからか俺を見ていた。

 でも、今はそれがない。

「余程の安心感を、俺は桜さんに持っていたんだな。」

 失って初めて気づく大切さという奴だろうか?...ちょっと違うか。
 まぁ、確かに不安だ。不安で、恐いと感じる。....けど。

「...大丈夫だ。」

 俺は、もう独りではない。
 皆が戻ってきた。ここには仲間もいる。千冬姉もいる。
 だから、恐れる事なんて決してない。

「....よし。」

 不安はなくなった。未だにいつ仕掛けられるかという緊張はある。
 でも、無闇に恐れる事はなくなった。

「やる事もないし、筋トレでもするか。」

 そういう訳なので、俺はしばらく筋トレをして時間を潰す事にした。
 今できる事は限られてるしな。








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