第81話 大事な欠片
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
あったんですの?......どちらに」
声は次第に遠くなり、覆われたいた靄が晴れると暗がりに蝋燭が点火されている部屋に白井は立っていた。
部屋の片隅には2人の倒れた人形とうずくまる小さな子供がいた。
「......」
部屋は土作りで妙に拡く感じる。人形の腕や脚部が散乱する部屋に白井は勢い良く踏み出した。
ばら撒かれた傀儡人形は白井が触れる度にクナイを吐き出したり、刀で斬りつけてくるが能力を使わずに切られるまま......あるがままの血を滴らせながら閉じこもる少年に近づいていく。
「父さん......母さん」
「!?」
白井は彼の言葉に足を早めた。孤独に苦しんでいる幼い子供がサソリだと何故か直感で分かり、どんなに傷付いても彼を迎えに行く。
まるで茨の道を歩むように......
「サソリ!サソリですわよね!」
クナイが白井の頬を掠める。空中に浮かんだ首からは針が飛んでくるが白井は寸前で手前に戻り躱した。
ここはサソリの閉じた心そのもの
外的からの、いや自分以外の全ての脅威から己を守るために創り上げた世界だ
「オレは人間か人形か?......オレはナニモノだ?」
白井が噴射された炎を躱すように部屋の隅にうずくまるサソリの前に来るとそのまま抱き締めた。
「?!」
驚いたようにサソリは顔を上げたが白井は傷だらけの顔のまま柔らかい笑顔を見せる。
「帰りますわよ......みんなが待ってますの」
「白井?」
「まだまだお子様みたいですわね。大丈夫ですわよ」
白井は小さなサソリの腕を掴むと部屋を飛び出すように走り出した。
数々の仕掛けが作動し始めたが関係無かった。
今は思い切り走りたい気分だった。
「まさか白井さんが......」
「私を逃す為に」
病院のベッドに寝かされた白井を初春と佐天が心配そうに覗き込んでいた。
場所は病院のベッドの上だった。
かつてサソリが入院していた病院だ。
ここもゼツ達の企みにより壊滅状態だったが一部の影響を受けなかった看護師と医師が救護に当たっているが人手が圧倒的に足らない状態だった。
しっかりと呼吸しているのを確認すると初春は頬を叩いて、奮い立つとジャッジメントとしてどうするべきかを必死に考えを巡らす。
己の信念に従い、正しいと感じた行動をとるべし!
ジャッジメントの心得のひとつですのよ
貴女に自分を変えたいという想いがあり、その想いを貫き通す意思があるなら
結果は後からついてきますわよ
まだ新人だった頃に言われた白井の言葉を噛み締める。
「佐天さん!白井さんをお願いします!」
他の生存者の救助活動や意識不明者の捜索などやらなければならない事はたくさんある。
ゆっくり休んでいる暇はない。
「ま、待ってよ!あたしも手伝うよ」
佐天
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ