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ドラゴンクエストX〜紡がれし三つの刻〜正式メンバー版
二の刻・青年期前半
第三十一話「いざ、ラインハットへ」
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した。じゃが、ラインハットの全てが悪と言う訳でもなかろう」
「「「………」」」
長老の言葉に村人達は押し黙るが、やはり納得がいかないのかその目は険しいままだった。
リュカはそんな彼等を見回すと立ち上がって話し出す。
「俺は何も無条件でラインハットを許すと言っている訳じゃない。それに…」
「それに…、何だリュカ?」
ヘンリーは続きの言葉を言いにくそうにしているリュカの肩に手を置いて軽く頷き、それを見たリュカも頷くと改めて村人達に語る。
「こんな真似が罷り通ると言う事は国王はおそらく無事ではいない筈だ。スラリンが言った様に兵士に擬態した魔物がこの村を襲ったという事はラインハットを影で操っているのは光の教団に間違い無い。つまり……」
「つまり何だよ、リュカ?」
「ラインハットの城下町でもこの村と同じ様に苦しんでいる人達が居るかもしれないと言う事だ」
リュカが其処まで言うと村人達の中にもハッとした表情をする者が多数居た。
「だから俺達は明日にでも出発しようと思う」
「…じゃな。正直に言えばずっとこの村に居て欲しいがリュカにはリュカの目的がある。ワシらの我侭でそれを止めさせる訳にもいかぬな」
長老の言葉に何かを言おうとしていた村人達も思い止まった様に俯いていた。
「リュカ殿!何卒我等の同行をお許し願いたい!」
「うん、ボク達も連れて行ってよ!」
「いや、それはちょっと待って欲しいんだ」
共に連れて行って欲しいと言うピエールとスラリンだが、リュカは何故かそれを断る。
「ええ〜〜!何でだよ!?」
「リュカ殿…」
「二人には俺達が戻るまでこの村を守っていてもらいたい。そりゃあ二人が来てくれるなら心強いがこの村を無防備にはしたくないんだ」
「あ…」
「すみませぬリュカ殿、その事を忘れておりました」
同行を断るリュカに食い付こうとする二人だが、リュカの村を守って欲しいという要望に村の防衛を失念していた事に気付く。
「ラインハットを光の教団から開放すればこの村も守りやすくなる筈だ。そうしたら一緒に旅に出よう、だからそれまではこの村の事を頼む」
「御意、お任せあれ!」
「うん、任せといてよリュカ!」
必ず迎えに来る、その言葉に二人は頷きそれまで村を守り続けると誓う。
―◇◆◇―
「もうワシから言う事は何も無い。お前ならば必ず成し遂げてくれると信じておるぞ」
「リュカ、そしてヘンリーさん。貴方方に神の御加護を」
「頑張っておくれねリュカ。でも無茶だけはしちゃいけないよ」
「光の教団の奴らなんかぶっ倒してくれ!皆の、パパスさんの敵を取ってくれ!」
翌朝、準備を終えて旅立とうとしているリュカ達を見送る為に村人達は集まり、其々にエールを送っていた。
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