Side Story
少女怪盗と仮面の神父 44
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誰からともなく愕然と零す「まさか」の声。
「そのまさかが、多分、正解。実際の引き継ぎは十一年前だが、領地の継承そのものが正式に決まったのは十二年前。アルフィンが、ネアウィック村に引き取られた直後だ。私は、村に匿ったハウィスが気付くまでアルフィンの素性を知らなかった」
シャムロックが貴族の間で騒がれるようになった頃は多少気にしてたが、半年くらい前、あいつがバーデルで商人を殺してる奴の中にブルーローズの被害者が混じってるって情報を持ってきた後でも、重要視はしてなかった。
でなきゃ、関係者を一人で村に残しとくワケがないだろ?
「さすがにウェミアが暴行されるトコまでは関知してないにしても、その後アルフィンを連れた行商人の足取りは追ってたか、ヘタすりゃバーデル側の国境を越える寸前だったミートリッテも含めて、関係する全員をさりげなく誘導してたんじゃないかと睨んでるぞ。私は」
七年前、たまたま自分が数日間の日程でネアウィック村を視察してた時にミートリッテが偶然密入国してきたなんて出来すぎてるし。
マルペールの奴は十二年前爵位剥奪こそ免れたが、あいつに相当キッツいお仕置きを貰ったおかげで、すっかり人格が変わったらしいからなあ。
と、けらけら笑う王子に、言葉を失って立ち尽くす一同。
つまり、『あいつ』こそがエルーラン王子にリアメルティ領を継承させ、アルフィンが居る村へ、ブルーローズを隠すように仕向けた首謀者だと。
そして七年前には王子とミートリッテを引き合わせたり、現在は暗殺者と成り果てていたイオーネ(アルフィンの関係者)が国境付近に襲来していたことさえ中央領を出ないままに把握し、王子に報告していた、と。
「あの、エルーラン殿下、アーレスト様。どう聴いても、まともな人間には思えないのですが。お二人はいったいどなたの話をされているのですか?」
王子の背中を正面に捉えたベルヘンス卿が、唇の片端をひくつかせながら右手を挙げて問いかけると
「私の従兄妹だ」
「殿下の従兄妹君ですよ」
二人の男が、揃って腹の底から大きなため息を搾り出した。
王子の顔は見えてないが、肩越しに窺ったアーレストはうつむいていて、周囲の空気を数倍重くさせる、どんよりした疲労感を醸し出している。
「殿下の従兄妹君って……まさか! 噂に名高い、あの公爵令嬢ですか??」
「本人も、一応は公爵だけどな。その、女神を愛し、
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