【繋がる心の軌跡】
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には、体力が回復するまで本家に居ると良い。離れのお前の家は、他の者に管理させよう」
「……お心遣い、痛み入ります」
「では、私はこれで失礼する。…行くぞ、ハナビ」
「えっ、もう…!? 父上、わたしはもう少し、ここにいたいです」
「そうか…、好きにしなさい」
ヒアシは病室を出る際、ネジに一瞥を向けたその眼差しは、一瞬ネジの父ヒザシのように優しげだった。
「──・・・」
「……ヒナタ姉さま、ちょっとの間ネジ兄と二人きりにさせてくれない?」
「うん、いいけど……。じゃあネジ兄さん、ちょっとの間わたしも失礼しますね」
「あぁ、はい……。それでハナビ様、俺に何か御用──」
ハナビはヒナタが病室を出て行ったのを見計らって、急にネジの横たわるベッドの上に身軽に乗っかった。
「……!? 何のつも──」
少し驚いた様子のネジに構わず、ハナビはほとんど馬乗りの状態からネジの左肩に右手を押し当てた。
「──・・・ッ」
「痛い? そうだよね、左胸近くに大穴空けられたんだもの。…そんなに強く押してないけど」
「………」
「日向の天才が聞いて呆れるよねぇ、まぁ特別上忍クラスが相手じゃ仕方ないかな」
痛みで少し顔を歪めているネジに、ハナビは冷たい無表情でネジの左肩を軽く掴んだまま続けて述べる。
「ネジ兄が里の仲間のために命かけるとは思わなかったけど・・・──どうせなら、死んで帰って来てもよかったんじゃないの? ネジ兄にあんな事情があったにしても、あたしはまだヒナタ姉さまにしたこと許したわけじゃないから」
「そう思うなら……、今この場であなたが俺を殺せばいい。簡単なものですよ、今の俺を殺すのは……」
「見くびらないでよね。弱ってるあんたをこれ以上どうにかする趣味なんてない」
不敵な笑みを口元に浮かべたネジに、ハナビは眼を逸らさないまま左肩から右手をふと離す。
「……ごめんなさい、言い過ぎた。ちょっとイジワルしたかっただけ。大体、ネジ兄をどうにかしたって姉さまが喜ぶわけないし。これ以上……ヒナタ姉さまを悲しませてどうするのよ。ネジ兄が瀕死で運ばれて来てからずっと涙流して、助かるように祈ってたんだから」
「────」
「そう簡単に死ぬのは許さない。生きて姉さまとあたしのこと守り続けてみせてよね」
「……言われるまでもありません。それはそうと……そろそろ俺の上から降りてくれませんか。右の腹部が圧迫されて、少々痛むんですが」
「あ、ご、ごめんっ。……とにかくそういうことだから! じゃあネジ兄、またお見舞いに来てあげるねっ」
ハナビはネジの上から素早く降りると、それまでの無表情から子供らしい笑顔を見せて病室から出て行った。
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