【繋がる心の軌跡】
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出かすか分からない」
「構いません…。悪いのは全部、わたしだから……」
「──あなたの付き人が近くに控えているならば、俺があなたに何をしようとした所で、すぐに飛んで来るのでしょうね」
ネジは眼を閉じて自嘲するように口元に笑みを浮かべる。
「あなたが出て行かないのなら、俺が出て行きます」
布団から立ち上がったネジは部屋を出て行こうと歩き出したが、目眩を起こして前のめりに倒れかかった所を咄嗟にヒナタに抱き支えられる。
「ネジ兄さん、大丈夫──」
「……ッ、触るな!」
「っ!」
嫌悪感を覚え、すぐヒナタの両腕を払い除けたネジは、憎しみの一瞥を向けて足早に部屋を後にする。
「……ネジ、お前ヒナタ様のお気持ちを──」
部屋を出てすぐ、ヒナタの付き人のコウと出くわすが、ネジはそれを無視して顔をしかめたまま通り過ぎる。
(あんな小娘など、知った事では───)
「……あ」
注意力が散漫になっていた為か、気配を察する前に廊下の突き当たりで小さな女の子と鉢合わせる。
「ハナビ……様…?」
「ね、ネジ、兄……だいじょうぶ、なの?」
「──何が、ですか」
「だって、その……すごく、痛そうだったから」
ヒナタの実の妹のハナビは、6歳上の従兄を心配そうな表情で見上げている。
「盗み見ていたのですか。姉妹揃って、余計な──」
「なんで、父上に呪印、使われたの? 日向の、呪印は……分家の人をしたがわせるためって、聞いてるけど…」
「あなたにはまだ、憎しみという感情は分からないでしょうね」
「にくしみ……?」
ネジは冷たい表情で、もう一人の従妹のハナビを見下ろす。
「俺は…、あなたの姉君に憎しみを向けたんですよ。簡単に言えば、組手以上に傷つけようとした」
「なん、で?」
「先程から言っているでしょう。憎いからですよ、あなたの姉君が。…今のハナビ様に分かりやすく言えば、嫌いなんです」
「どうして…? なんで姉さまのこと、キライなのっ?」
「聴かされていないのなら、話す気はありません。それとハナビ様……、分家の俺などに気安く声を掛けるべきではない。姉君があの調子では……あなたが次期日向宗主に相応しくなるでしょう。──ハナビ様に、日向の才がおありなら」
「ヒナタ姉さまは、つよいもん…っ!」
「フ……そう見えているなら、あなたの眼は曇っている」
「なんなの、ネジ兄っ。ヒナタ姉さまキラってるあんたなんか、あたしもキライっ!」
「ヒナタ様の妹君に好かれようなどとは思いませんよ。…先に失礼させて頂きます」
ハナビに恨みがましい眼で見られようと、ネジは微塵も気にせずその場を後にした。
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