第1章
『落ちこぼれなんて好きでなったわけじゃない』
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ドコートで食べ、今は屋上へと向かうエレベーターの中だ。
「サーシャ、何か話があったんじゃないのか」
「…すぐにわかりますよ」
エレベーターの中で、何故かサーシャがこちらを向くことはなかった。
シフォンは…相変わらず俺には目もくれず佇んでいる。
朝家を出てから今までシフォンは1度も喋っていないな。
そんな考え事をしている内に屋上へ着き、エレベーターを降りると。
「ワアアァァァァァァァァアアア!!」
耳をつんざく程の歓声があがる。
何事かと、耳を塞ぎながらも前を向くと、そこではポケモンバトルが行われていた。
「ピジョン!『たいあたり』!」
「コラッタ!交わして『必殺前歯』!」
バトルをしているポケモン達が激しくぶつかり合う。
やがて、ピジョンは戦闘不能、コラッタが勝利した。
「貴方が見るのはポケモンではなくトレーナーですよマスター」
サーシャに言われ両トレーナーを見ると笑顔で握手をしていた。
いや、それよりも。
「サーシャ、今、なんて…」
「かっ!目だけでなく耳まで阿呆になったのかバカマスター」
サーシャが、シフォンまでもが俺をマスターと呼んだ。
「マスター、我が愛しのマスターツバキ、私は貴方にあのトレーナー達の姿を見せたかった、勝った方はこの大会で何度も優勝しているトレーナーで、負けた方はこの大会で何度も初戦敗退しているトレーナーです、でも、負けた方を見てください、彼は笑顔ですよ、何度も負けているのに、次だって負けるかもしれないのに、それでも彼は笑って、何度もこの大会に参加しています」
「じゃとゆうのに、お主はなんじゃ一体、学生時代1度も勝てずに、あげくトレーナー諦めろと言われた程度で…よいか、ポケモンも生きておる、最近はポケモンの強さでさえ数字にできるがの、そんな数字がなんの役に立つのじゃ、人間もそうじゃろう?数字で測れたとしても、時としてその数字以上の力を出すこともあるし、その逆もある、ワシも、サーシャもお主との付き合いは長いがトレーナーとしての経験はたったの7年じゃ、7年なんぞ、熟練のトレーナーからすれ赤子も同然じゃろうが」
…トレーナーになったばかりの人間が2人以上いる時、その差にはバラつきがある。
簡単に言えば、世の中には5種類の人間がいる。
最初からその才能を発揮し、強くなる者。
才能はあるが、それに溺れ、成長しなくなる者。
才能もあり、努力もして世に羽ばたく者。
才能こそないものの、努力で勝ちを掴み取るもの。
そして、才能に恵まれず、努力もせずに落ちぶれる者。
「マスター、在学中の貴方は沢山勝つ為の努力をしてきました、技が相性を調べて、それを生かせる戦術を何度も組み立ててきました」
それでも、勝てなかった。
勝たせてあげられなかった。
「勝てなくともよいじゃろ、才能がなくとも
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