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ポケットモンスター『強さを求める者』
第1章
『落ちこぼれなんて好きでなったわけじゃない』
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も聞いてきた筈なのに、この時ばかりは悔しかった。己の弱さを見せつけられた。
「私はアンタみたいにはならない、いい機会ね、2度と私の前に現れないで」
俺と彼女の何が違ったのか、育成のやり方か、戦闘のやり方か、レベルなのか、彼女と俺の間にある決定的な差が…俺にはわからなかった。


朝、なのだろうか、モノクロの視界の中で、俺は目を覚ます。
殺風景な部屋の中、カーテンは閉め切っており、窓は開いていない。
そんな部屋を出て、リビングへ向う。
「あらツバキ様、目が覚めたのですね」
「…おはよう」
俺に声をかけてきた赤いブローチを胸元につけた白いワンピースに身を包んだ緑色のショートカットの少女。
今となってはその色さえわからないが、サーナイトの『サーシャ』。
『獣人種』と呼ばれる存在。
「今朝食を作りますね」
そう言ってキッチンへとサーシャは向かった。
「ふあぁぁぁあ…こんなダメニート、放っておけば良いものを、サーシャも物好きじゃのう」
そう言ってソファから身を起こしたのは10歳前後の容姿にかつては黄色い巫女装束と黒袴を履いていた『シフォン』、サーシャ同様『獣人種』のクチートだ。
スクール卒業以来俺達の仲は険悪になっていた。
シフォンはずっと悪態をついたり、俺とはほとんど会話をしない。
それどころか、食事の時以外俺とは同じ空間にいないことの方が多い。
サーシャは普段と変わらず接してくれてるように見えて、かなりよそよそしくなっているのがハッキリわかる。
だからといってどうということはない、本来これが、シフォンの態度が普通なのだ。
最悪、愛想をつかして俺の前から姿を消しても…俺にはそれを責める権利も、咎める資格もない。
そんな彼女達がそれでも、俺の傍にいてくれるのは、彼女達なりの優しさなのだろう。
「…ツバキ様、もしよろしければ朝食の後私と散歩しませんか?」
唐突に、サーシャがそう切り出してきた。
大事な話と、見せたい物があるからと。
特にやることもなく、断る理由はないのでその提案を受け入れる。



外に出るなんて何時ぶりだろうか。
家も、人も、ポケモンも、空も、道も、隣を歩くサーシャとシフォンも、モノクロにしか見えない。
まるで古い映画でも見ている気分だ。
俺達が向かったのは隣町のトキワシティにある最近出来たデパート。
サーシャが買い物をしたいからと、ここへ連れ出してきた。
「見てくださいツバキ様!これ可愛いです!」
そう言ってサーシャが手に取ったのは灰色でヤドンがプリントされたマグカップ。
いや、本当は別の色なんだろうけど。
「ああ、いいんじゃないか」
俺の見ている世界を知らないサーシャを否定しても彼女を傷付けるだけだ、俺は適当に相槌を打って買い物を終わらせた。

昼食はデパートのフー
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