第1章
『落ちこぼれなんて好きでなったわけじゃない』
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「アンタ…才能ないからトレーナー諦めなさいよ」
その日から俺の視界は色をなくした。
10歳の頃、マサラトレーナーズスクールに通い始めてから何度、同じ言葉をかけられただろうか。
落ちこぼれと呼ばれ早7年、マサラトレーナーズスクールでの卒業バトルで俺は心が折れた。
卒業バトルと言えど試験ではないのでか勝とうが負けようが卒業はできる。
だからといって手を抜いたわけでも、注意を怠ったわけでもない、全力で、自分の持てる力を出し切った。
だけど結果は惨敗、俺の目の前で2人の少女が横たわり、その向こうには1匹のピジョットと1人の少女が立っていた。
たった1匹の『原生種』のピジョットに、『獣人種』であるサーナイトとクチートが敗北した。
赤きトレーナーが姿を消して早20年、世界で異変がおきていた。
『獣人種』の出現。『原生種』が『獣人種』に変化したのか、それとも『原生種』から産まれた新種なのかは未だに解明できていない。
ただ、一つ言えることは、『獣人種』のポケモン全ての特徴として『原生種』の強さを遥かに上回る、というものだった。
20年もあれば科学の力も進歩するもので、ポケモンに『個体値』と呼ばれるポケモン個々によって違う数字と『努力値』と呼ばれるポケモンが戦闘によって得られる数字、そして全てのポケモンが保有しているステータスが可視化できるようになった。
ポケモンが戦う為の体力『HP』。
打撃系攻撃に影響を与える『攻撃力』。
物理攻撃から身を守る為の『防御力』。
特殊な攻撃を繰り出す為の『特殊攻撃力』。
特殊な攻撃から身を守る為の『特殊防御力』。
そして、早く行動する為の『素早さ』。
『個体値』はポケモンが種族によって持っている力が決められた数字。この『個体値』が通常より高いものがステータスに多いポケモン程強いとされている。
6つの内1つや2つが高いポケモンこそ数いれど、それ以上となるとそうはいない。
3つ以上高ければ『3V』
4つで『4V』
というように、2つ以上Vを持つものは通常よりも得意な分野が多くなる。
そして、現在確認されている『獣人種』と呼ばれる存在は総じて『6V』である。
個体値の数字は強さに比例する。
人によっては『6V』を『鬼才』とさえ呼ぶ者もいた。
そんな『獣人種』のポケモン2人を、ましてやタイプ相性では有利なはずのクチートでさえも、ただのピジョットに、手も足も出なかった。
もちろん『原生種』にも『6V』がいない訳ではない、が、それでもこのピジョットは違った。
俺は手元にある『ポケモン図鑑』で彼女のピジョットをサーチする。
結果は攻撃、特防、素早さのみのV、『3V』だった。
そんなポケモンに負けた。
「…アンタ、才能ないからトレーナー諦めなさいよ」
その言葉を、何度
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