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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三十七話 転機
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に転んだ。ちょっとラインハルトを挑発しすぎたからな、あの二人のおかげで向こうは気を削がれたようだ。俺も唖然としたよ、笑いを堪えるのに必死だった。撃たれたことも悪くなかった、前線で命を懸けて戦ったと皆が思うだろう。
ロボスだのフォークのために軍法会議で銃殺刑なんかにされてたまるか! 処罰を受けるのはカエルどもの方だ。ウシガエルは間違いなく退役だな、青ガエルは病気療養、予備役編入だ。病院から出てきても誰も相手にはしないだろう。その方が世の中のためだ。
キスリング、お前は今どうしている? 無事か、苦しんではいないか? お前と話が出来なかったのが残念だ。もう二度と会う事は無いだろう……。俺は帝国には戻れない……。
“ヴァンフリートの虐殺者”、“血塗れのヴァレンシュタイン” クマ男の声を思い出す。憎悪に溢れた声だった。ヴァンフリートで帝国人を三百万は殺しただろう、そう言われるのも無理は無い。俺がクマ男の立場でも同じ事を言うはずだ。
サアヤが俺を帝国に連れて帰れと言った。だがオフレッサーもリューネブルクもラインハルトも一顧だにしなかった……。今更だが俺は元帝国人であって帝国人ではないのだ。厳しい現実だ。
俺は帝国に戻りたかった。帝国に戻れないのが分かっていても戻りたかった。多分、俺は無意識にその事実から目を逸らしていたのだろう。だから今回のイゼルローン要塞攻略戦にも今一つ真剣になれなかった……。
俺にはもう行くところは無い、この国で生きていかなければならない。その事を肝に銘じるんだ。そうでなければ同盟人としての第一歩を踏み出せない……。これ以上の躊躇は許されないだろう。
「ヴァレンシュタインが目を覚ましたって?」
ドアを勢いよく開けて入ってきた男が居る。やれやれだ、さっそく同盟人として生きる覚悟を試されることになった。此処は病室だぞ、阿呆。少しは気遣いが出来ないのか、お前は……。適当に相手をして追っ払うか……、こいつが役に立つな……。
宇宙暦 794年 10月22日 宇宙艦隊総旗艦 アイアース ミハマ・サアヤ
ドアを勢いよく開けてワイドボーン大佐が入ってきました。その後にヤン大佐が続きます。ワイドボーン大佐が私に大声で問いかけてきました。
「ヴァレンシュタインが目を覚ましたって?」
「はい、今軍医の診察を受けているところです」
大佐は私の言葉に不満そうでしたがその場に立ち止まりました。軍医の診察を待とうと言うのでしょう。私の位置からは、ワイドボーン大佐もヴァレンシュタイン大佐の顔も見えます。それまでにこやかに笑みを浮かべて軍医の言葉を聞いていたヴァレンシュタイン大佐が顔を顰めて溜息を吐きました。
ヴァレンシュタイン大佐と軍医が何かを話しています。どうやら診察を終えたようです。軍医が私達
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