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フロンティアを駆け抜けて
怪物との決着
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もう――」

 ダイバの震える声をジェムはやんわり否定する。父親と同じように振る舞えると夢見て、無茶をするジェムを仲間たちが力になってくれた。ジェムとダイバは育った環境も何もかも違う。だけど、ポケモントレーナーとしての自分の仲間たちとの絆は同じように存在しているはずだ。

「その仲間たちがお父様とお母様に貰ったものだとしても、関係ないわ。だって今はもう『ダイバ君の手持ち』……そうでしょ?」

 ジェムがシンボルハンターとの戦いで母親に愛されていないという言葉を突き付けられた時、立ち上がることが出来た一番の理由は泣きじゃくる自分を心配してくれるポケモン達がいたからだ。ずっと一緒に過ごした仲間たちはいつもいつでも、本気で自分を支えてくれると信頼できる。

「私はまだダイバ君に会ったばかりだから勝手なことも的外れなことも言っちゃうけれど……ダイバ君の仲間なら、今のダイバ君がどうするべきか相談できるはずよ。ね?」

 ジェムはダイバの肩を支えてあの時のジャックがそうしてくれたように優しく言った。彼と同じく、どうするかはダイバとその仲間に委ねる。ダイバは頷いて、メタグロス、それに手持ちの仲間たちを見た。口は開いていないが、テレパシーで何かを伝えあっているのだろう。ジェムには内容がわからないが、そのことに不安はない。エメラルドは一連のやり取りを見やり、面白そうに口の端を歪めた。

「なるほどな、いい判断だ。私たちはもう仲間だとか諦めなければ勝機はあるとかそんな言葉よりも、ずっと説得力があるぜ。……だが、俺はあのシンボルハンターみたく気が長くねえぜ?」
「――きりゅりりゅう」

 メガレックウザが天空で欠伸でもするように鳴いた後ジェムたちを見る。伝説の中の伝説である巨竜には人間同士のやり取りなど興味を持つに値しないのかもしれない。

「……勿論、攻撃してくるなら受けて立ちます。ダイバ君が勝つ方法を思いつけるなら、勝てなくても耐えてみせる……のです」
「ひゅうあん!」

 メガラティアスとメガレックウザが向かい合う。伝説のポケモンでありメガシンカ同士、しかし伝説としての格は向こうの方が遥かに上。一対一では勝利は望めないことはジェムたちもわかっている。

「そうかよ、なら……伝説としての格の差を思い知りな! 『神速』!」
「『リフレクター』!」

 メガレックウザの尾がしなり、音速を超えてメガラティアスを狙う。横合いから叩きつけられた一撃は守りの壁を粉々にして、メガラティアスの体を木の葉のように吹き飛ばした。

「ほう……随分軽く飛んだな」
「ラティ、いけるよね?」
「ひゅうん!」

 小さな飛行機のようなメガラティアスの体は撃墜されない。『リフレクター』で一瞬でも体に当たるまで
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