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フロンティアを駆け抜けて
怪物との決着
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力を持ってる……これなら僕のメタグロスの方が勝る! 『コメットパンチ』だ!」
「グオオオオオォ!!」

 メガメタグロスの四つの拳がばらばらに巨竜の体に殴りかかる。メガレックウザも体を振り回してはじき落とすが、自在に宙を舞う腕は弾かれてもまた向かっていく。

「キュキュ、『影分身』で腕をたくさん増やして!」

 キュウコンが尾から炎を出し、周囲の空気熱を操作してメガメタグロスの腕の分身を作り出す。四つの腕が十六に、十六の腕が六十四に。幾重もの虚像の腕によってメガレックウザは本物を叩き落とすことさえままならない。尾を、胴を、顔を、首を。何度も何度も殴り続けてダメージを与えようとする。


「――きりゅりりゅりしぃぃしゅぅぅうううううう!!」


 伝説の巨竜が叫ぶ。だがそれは痛みに悶絶する声でも強敵に対し己を鼓舞する声でもなかった。まるで顔の周りを飛び続ける小さな虫に苛々したような声。エメラルドが呆れたように頭を掻く。

「ったくよぉ……伝説級だとか、腕を増やすだとか……スケールが小さい、小さすぎるぜ! そんなもん、俺様とレックウザにとってはバチュルやアブリーの体当たりレベルだってことを教えてやる。『噛み砕く』だ!」

 鋭い顎に隠れた大口が開き、体をぐるりと回して首元を殴ろうとした本物の腕の一本を――アルミ缶を潰すようにあっさり噛み砕いた。ダイバが、驚きの声を上げる。

「なっ……!?」
「グゴオオオッ!!」
 
 メガメタグロスも苦しそうな声を出す。いくら電磁力によって体から離れて動かせるとしても、紛れもなく自分の身体の一部なのだから当然だ。

「確かにメタグロスのスペックは伝説のポケモン並だ。だが伝説にもランクってやつがある。ラティアスやレジギガスは準伝説……メタグロスはそれと同等。だが俺様のレックウザは真の伝説! そして真の伝説ポケモンの中でメガシンカを操れるのはこいつだけ……つまりホウエン、いや全世界で最強のポケモンだ。いくら攻撃力を下げて防御を固めたところで、種族としての圧倒的な力の差は埋められねえんだよ!」
「ジャックさんのレジギガスよりも力が上……!?」

 自分の師匠であるジャックの本気の戦いを思い出す。クチートを一撃で握りつぶし、ラティアスのどんな攻撃も受け付けず相手の力を利用してやっと倒せた、一体のポケモンとしてはジェムの知る最強の存在ですら、格が違うという事実に畏怖を持って相手を見上げてしまう。メガレックウザは鋼の拳を咀嚼した後破片をまずそうに吐き出した。隕石を食らうとされるレックウザでもさすがに鋼のポケモンを飲み込む気にはならなかったらしい。破片が落ち、ダイバとジェムの目の前まで転がってきた。腕一本で自分たちを乗せて運ぶほどの大きさだった腕が、自分の指
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