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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
外伝『魔弾と聖剣〜竜具を介して心に問う』―中章
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青年傭兵に問う戦姫。軍議で発言されたその概念は、ヴィッサリオンからもたらされたものだ。正確には、知識欲の権化である初代ハウスマンが出所なのだが――
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「ええ。おそらく、黒船のとれる行動はたった一つ……ほぼ『直進』しかないでしょう。あそこまで慣性が働いている以上、もうこちらへ突っ込むしかできないはず」
「影の戦姫のように……とは言いませんが、うまく『無人船』に積載した『硝石』と『燃える水』、直進すると思われる黒船の『ドウリョクゲン』と反応を起こせばいいですのね」
「さらに付け加えるなら、黒船同士をルヴーシュの旗艦ごと輪廻(ウロボロス)のごとく『連環』せしめてから――だな。ヴィッサリオン」
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――いちいち俺に聞かないでください。だが口には出さない。出さないぞ。
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「あなたが『陰険』に敵戦艦の『首長竜筒砲』をちょん切ればよろしくて?もっとも、特攻が趣味の貴女には、我々との連携について高望みしませんが――」
「こいつの癇癪(かみなり)で『誘爆』して味方への『誤爆』になりかねないから気を付けないと」
「うだつの上がらないそこの傭兵と心中する気なら、手を貸して差し上げてもよろしくて」
「遠慮しておこう。『手』を貸すどころか『刃』の立たない小娘に『足』を引っ張られたのではたまらないからな」
「鬼神の貴女に唯一ヒロインチックな終曲を奏でて見せましょうと気を利かせたつもりですが――」
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凱が居合わせていれば『恋人と沈みゆく船』をタ〇〇ニック号と突っ込んでいたかもしれない――
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「……頭が痛くなる言い合いはやめてくださいと申し上げたばかりですよ。だんだん私怨がにじみ出ていますって」
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軽くため息が出てしまう――ルヴーシュの戦姫にうだつの上がらないといわれて、少しへこんでしまうヴィッサリオン。ともかく――
オステローデやオルミュッツのような寒冷地において、最大の危険性を持つ引火性液体。ヴィッサリオンは低温下においても『可燃』できる液体を用意させた。これが勝利のカギになると信じて――
この時代においては『禁忌』と謳われるほどの火力を有しているもの。『燃える水』の爆発的な燃焼力でなければ、すぐさま黒船によって消火されてしまう。衝突の際の砕かれる鉄の微粒子を『粉塵爆発』の為の起爆剤とし、連鎖反応で黒船軍団を焼失させるしか手はないだろう。
雷禍の戦姫がいう『燃える水』は、前海戦の折にオステローデの戦姫が捕獲した臭水を、参考標本(サンプリング)として鹵獲したものを、ヴィッサリオンが虚影の戦姫を介して複製させたものだ。
幸いだったのが、『燃える水』を構成たらしめる高山油田がオステローデにあったことだ。それが燃える水複製の精製時間短縮につながったわけであり――後の『塩田開発事業』はその副産物として、次代への戦姫の面影として残ることとなる。
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