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ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
第2章 魔女のオペレッタ  2024/08 
エピローグT:戦後密談
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ヤーが攻略に邁進し、その遠く離れたところで俺はどう行動するのか。
 これまでは少しでも早く攻略が進捗するように、その一助になればと未開のダンジョンや未知のクエストを探索した。しかし、今の俺はその初心から大きく在り方を変えてしまっている。自分でも抱えきれないロジックエラーを溜め込んで、こうして行っている何気ない思考でさえ正しいものなのかも分からない。被害者面をするようだが、俺はそれほど壊れてしまっている。そんな俺に出来ること、為すことなどは言うに及ばずといったところか。


「ただの自主的な謹慎だ」
「………そうか」


 言葉少なく、ヒースクリフは頷いて返す。俺は未だ、自分の罪を受け入れることが出来ていない。内面に巣食うモノから目を背けて今まで通りの日々を続ければ、そう遠くないうちに破綻するのは目に見えている。ヒースクリフも深い事情までは追及しないらしい。その対応がありがたい限りだ。
 数瞬遅れて視界の端に点滅するメール受信アイコンが表示され、メインメニューを操作して文面を確認する。どうやら退散する頃合いが訪れたらしい。


「呼び出しだ。失礼する」
「ほう、緊急の用件か」


 席を立ち、出入口へ向かう最中、背中から声が聞こえた。
 本来の俺ならば独り言として聞かなかったふりをするところだろうが、どういうわけか口が軽くなっていたらしい。


「いや、今日の昼はカレーだそうだ」


 攻略組として最後の会話は、ひどく間の抜けた帰結を迎えたのだった。
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