第一章 天下統一編
第十八話 到来
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だろう」
石田三成は織田信雄を横目で冷徹な視線を送りながら言った。彼の態度と会話の内容を聞いていた織田信雄は身体を怒りで震わせていた。
「その言い方ならば関白殿下は相模守一人に城攻めを命じることは本意でなかったということだな?」
福島正則は真剣な表情で石田三成に聞き返した。石田三成は感情の籠もらない表情で福島正則のことを見ていたが口を開く。
「関白殿下のご本意ではない。だが、関白殿下は相模守に許可を出された。一度出された許可を取り下げることはない。福島左衛門尉、お前でも理解できるだろう」
「相模守が城攻めをする考えを撤回し、関白殿下にお詫びすれば問題ないことだ。この私も一緒にお詫びする」
「私もだ」
福島正則と蜂須賀家政が共に俺のために秀吉に謝罪すると言い出した。
「駄目だ。相模守は関白殿下に願い出て関白殿下は許可を出された。私達が口出しすることではない」
石田三成は福島正則の提案を聞くつもりがないようだ。
「き、貴様が相模守の無謀な計画を黙って見過ごしたことが全ての元凶だろうが!」
福島正則は石田三成に掴みかかる勢いで前へ進み出るが、周囲にいた武将三人が慌てて福島正則を抑えつけた。だが、福島正則は大人しくなる気配は無く、自分を押さえつける武将達に「放せ!」と怒鳴りつけ暴れ回った。彼を抑える武将達は彼に殴られようと必死に抑えつけていた。
「福島左衛門尉、私が何時失態を犯したというのだ? 私は関白殿下と相模守の話を聞いていただけだ」
石田三成の事務的な発言に福島正則の表情は一層険しくなり紅潮した。福島正則の表情は鬼の形相だった。
「放せ!」
福島正則は抑える者達を力尽くで払い飛ばし、足を踏みならしながら俺が座る場所までやってきた。俺は福島正則の剣幕にたじろいでしまった。
「相模守、発言を撤回しろ」
福島正則は、俺の前に乱暴に座り込むと低い声で俺を睨み付けた、俺に城攻めの計画を撤回しろと命令してきた。その表情は肯定の返事しか許さないと顔に書いてた。俺は彼の迫力に心臓を鷲掴みにされるような感覚に陥るが理性でそれを払い除けた。
「撤回しません」
俺は福島正則のいい知れない圧迫感に抗い自分の意思を伝えることができた。
ここまできて韮山城攻めを撤回するつもりはない。撤回すれば今まで行った準備が全て無駄になってしまう。俺の家臣達にも顔向けできない。
福島正則は右手を動かした。その直後に俺は何が起こったか分からなかった。
俺の左頬に鈍痛が走ったかと思うと、俺は床を転げ回った。気づいた時には後頭部を押さえつけられ床に顔を押しつけれた格好になっていた。
苦しい。
息がしづらい。
「相模守、発言を撤回しろ。意地を張るな。私が一緒に
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