第一章 天下統一編
第十八話 到来
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三成に答えた。石田三成は視線を武将達に戻す。
「命令は以上である。各自各々の役目を全うせよ。私は直ぐに小田原に戻らせてもらう」
石田三成は気力を無くした織田信雄を無視して立ち去ろうとした。
「上使殿、待っていただきたい!」
去ろうする石田三成を止める者がいた。その人物は福島正則だった。今回は蜂須賀家政も加わっていた。どうしたんだ二人とも。二人とも横顔しか見えないが石田三成のことを睨み付けている。
「相模守の韮山城攻めの許可は取り下げていただきたい」
「断る。これは関白殿下と相模守の間で取り交わされたことだ」
石田三成は福島正則の要求をきっぱりと拒否した。
「相模守は未だ十二で今回の戦が初陣です。正気で言っているのですか?」
福島正則は厳しい表情を石田三成に向けながらも言葉を選び石田三成を非難した。石田三成は福島正則の非難を気にしている気配はない。それが福島正則の気持ちを逆なでしたのか、福島正則の表情は一層険しくなった。
「相模守が韮山城攻めを継続するにあたり、それに失敗した場合は切腹して責任を取ると言っている。関白殿下も相模守の覚悟に心を動かされ許可を出された。何が問題だ?」
石田三成は事務的な態度で福島正則に抗弁した。彼の口振りに福島正則の表情に怒りの感情が表れた。彼は拳を強く握りしめる。その所為で彼の拳の肌から血の気が失われ白く変わっていった。
「お前はそれを黙って聞き入れここに来たということか?」
福島正則の声は怒りで震えていた。彼は上使に対する敬語を使うことを忘れていた。
「佐吉! お前は短い間とはいえ相模守の面倒をみていたのだろう。何故、関白殿下を諌めなかった。相模守は十二だぞ!? お前は正気か!」
福島正則は劣化の如く怒り声を荒げた。
「市松の言う通りだ。お前には血が流れているのか!」
蜂須賀家政が福島正則に同調して石田三成を非難した。二人の様子に石田三成は無表情で俺のことを見た。
「相模守、お前は韮山城攻めを単独で攻め落とせと関白殿下から命令されたのか?」
「いいえ、私が願い出ました。ただし関白殿下は大手門を破り砦を一つ落とせば韮山城はもう落ちたようなもの。その後に城攻めに参加したい武将が名乗りでれば、お前の裁量で協力させるか判断すればいいと言われました」
俺は秀吉との遣り取りを思い出しながら石田三成に答えた。
「福島左衛門尉、相模守の話を聞いただろう。私は相模守と関白殿下の会話を側で全部聞いていた。今の話は全て事前に取り決められた内容だ。内大臣がつつがなく総大将の務めを成し遂げ、韮山城を落としていれば相模守の出番は無かった。関白殿下も内大臣が真逆一月かけても韮山城を落とせないとは思っていなかったの
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