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鉄血のベーオヴォルフズ
第02.5話 青雲の志
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な。300年間停滞していた世界が再び動き出す予感にこうも心が躍るとは」


火星、静止軌道衛星上―――そこには一隻の輸送艦が巡行していた。
そのブリッジにて黄金の仮面をつけた長い銀の長髪の男―――モンタークは火星をその視界に収めながら呟く。

「へぇ、そりゃあ何より……っと旦那、幾つか目星は付きましたぜ。」

その後ろに控えるちょび髭の中年男性―――トド。

「ありゃあどうにもルナが怪しいぜ。」
「ルナ、クリュッセの隣にあるアフリカユニオンの統治区域だったな。確か難民救済に本格的に力を入れていると聞いていたが―――なるほど、そう云う事か。」

「ええ、お察しの通りでさぁ。―――奴さん、この機会に一儲けしようって魂胆らしいですぜ。」
「ふっ、浅ましいな……尤も、私たちも人のことは言えないが。」

仮面の下で皮肉気に微笑むモンターク。そう、この輸送艦の積み荷―――それを売るためにわざわざ火星などという辺境の地へと赴いたのだ。


「ああ、それと火星のガキども派手にやりあってるみたいですぜ―――どうにも、ちと厄介な奴が混じってやがります。」
「ふむ、では商談のついでに私も少しばかり動いてくるとしよう―――デスクでハンコを押すばかりの毎日では鬱憤がたまるからな。」

「それはそれは、ストレスってのは体に良くないですぜぇ。」
「そうだな……船を頼むぞ。」

「あいよ、ではご武運を…」

恭しく礼をとるトドを後に残し船のブリッジから退出するモンターク。向かう先は船の格納庫だ。






「グリムゲルデは出せるか?」


格納庫に鎮座する紅のMS、ヴァルキリアフレーム・グリムゲルデ……厳密にはグリムゲルデの外装を再現し装着した機体だった。
そしてその背中には二年前とは違い、翼のような形状のスラスターが追加され正に鎧をまとった戦乙女たる風貌へと変化していた。


「はい、ブースターのほうは問題ありません。しかし、ツインリアクターはまだ調整が不十分で……やはり専用設計のリアクターじゃないとどうしても。」

その整備に勤しむ長い黒髪を靡かせる少女にモンタークは問いかける。それに難しい表情で答える。

ツインリアクターシステム、あまた存在するMSの中でガンダムフレームのみが有する機構であり、エイハヴリアクターを二基搭載することによる大出力を得る。
性能優先でコストパフォーマンスを切り捨てた設計のガンダムフレームが未だなお第一線で活躍できたのはその出力の余裕が大きいからだ。

操作であればリアクター出力を一々気にしないで操作でき、装備によっては増大する消費出力を気にすることもなく実装できる。
半面、その安定稼働は非常に困難でありガンダムフレーム自体が整備性や量産性を投げ捨てて絶対的な
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