第02.5話 青雲の志
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
PD318年―――某所
「やっと再開えたな……ブリュンヒルド。」
監査官、マクギリス・ファリド特務二佐はフレームだけに解体された一機のMSを見上げる。
その周囲には同系統機であることをうかがわせる共通点が散見できるグレイズフレームが数機同じくフレームだけの人体標本のような姿を曝しながらつるされていた。
ヴァルキリアフレーム、現在ギャラルホルンで運用されているMS、グレイズの母体になった機体だ。
「皮肉だな、阿頼耶識研究所にお前が置かれていたとは――さぞや屈辱だっただろう。」
人体にナノマシンを投与し、その脊髄の神経線維と金属端子を結合―――機械と人間を有線で接続し直感的な操縦を可能とするインタフェース阿頼耶識システム。
その非合法研究施設が其処だった。
別に此処にヴァルキリアフレームが存在することに違和はない。なぜなら、ヴァルキリアフレームはガンダムフレームと同時期に開発された阿頼耶識を前提とするMS群に属する機体だからだ。
そして、その1号機ブリュンヒルドこそがずっとファリドの名を手に入れる以前の頃からずっと、この手に取り戻すために人生の大半を費やして探し求めてきたモノなのだ。
父母の仇に頭を垂れ苦渋と辛酸を口にしながらも牙を研いできた。
そして監査官という地位と、セブンスターズが一ファリド家の権威を手に入れてこうして取り戻した。
「だが、一歩遅かったか………」
渋い顔になる、敵の本丸を討ち損ねた………これは後々、大きな後顧の憂いとなるだろう。
既にギャラルホルンの陸戦部隊が突入し、施設の制圧は完了しているが抵抗らしい抵抗は無い―――もの家の殻というのが正にそのまま当てはまる状況だった。
「―――うぇぇっ!」
「おい、大丈夫か。」
嘔吐する人間の嫌なうめき声、其方に目をやるマクギリス。
そこには蹲る兵とそれを気遣う同僚。その先には幾つもの試験管があり、その中には人間の脳髄が収められていた―――恐らくこれは標本だ。
其れも証拠に、その脳から伸びる延髄、脊髄にはナノマシンによって作られた金属端子が見て取れる。
そして、ほかにも解体された人体のパーツが多く標本にされていた。
「二佐。」
「石動、どうだ?」
「バイオマトリクスから検索しましたがあらゆるデータベースに一致する人間はいませんでした。恐らくは‥‥」
「ヒューマンデブリか。」
自らの補佐を行う石動・カミーチェの言葉の続きを口にする。ヒューマンデブリ、塵のような価格で売り買いされる誘拐奴隷の事だ。
無論、人間を誘拐して奴隷として売り飛ばす等どの経済圏でも重罪だ。
しかし、現実としてそれが横行しておりそれを前提とした経済構造が構築
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ