ガンダムW
1689話
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とドロシーはそっと乾杯をする。
「何に対する乾杯なのかしら?」
「そうだな、ロームフェラ財団の関係者がサンクキングダムにいる事に対する奇妙な偶然に……ってのは、どうだ?」
「ふふっ、それは面白いわね」
ガラスのぶつかる軽い音が周囲に響き、俺とドロシーはそのコップの中身を飲み干す。
中身はオレンジジュースだが、その辺で適当に売っているオレンジジュースではない。
微かな酸味があるのは、恐らくミカン以外に何か他の果実を混ぜているのだろう。
この酸味からすると、レモンか?
「じゃあ、人生経験が豊富なデュオに聞きたいんだけど、これからロームフェラ財団はどうなっていくと思う?」
少しだけ視線が鋭くなったドロシーの問いに、どう答えるか迷う。
迷った末に……結局正直に口を開く。
「直接的に言うのと、オブラートに包んで言うの、どっちがいい?」
「直接的な方がいいわ」
「衰退するだろうな」
向こうが希望したという事で、単刀直入に告げる。
その言葉に、ドロシーは驚き……はせず、特に表情を変えてはいない。
「デュオから見ると、やっぱり衰退するように見えるのね?」
「ああ。そもそも、連合軍に反旗を翻した時点で向こうに読まれていたかのように反撃され、OZが予定していたよりも勢力地を増やす事は出来なかった。その上、宇宙におけるOZの本拠地バルジが消滅しただろ? しかもそこからトレーズ派、財団派に別れて抗争中だ。ただでさえそこまで勢力がないのに、内輪揉めをして……その上、財団派は何を考えたのか中東連合にも喧嘩を売っている。しかも今日見せて貰ったのを見る限り、サンクキングダムにもちょっかいをだしてるんだろ? どう考えても、財団派には未来がない。そして財団派が消滅してしまえば、ロームフェラ財団に戦力らしい戦力はなくなる」
勿論完璧に戦力がなくなるという訳ではないだろう。
個人で私兵集団を雇う程度はやっている者はいるだろうし、他にも傭兵を雇うという手段もある。
だが……それでもW世界の勢力という面では明らかに弱小になるのは間違いない。
「そうね。そうなる可能性が高いわね」
そう告げるドロシーは、全く残念そうな様子を見せていない。
何だかんだと頭の回転の早いドロシーの事だ。その程度は容易に予測していたのだろう。
「ドロシーに聞くのもおかしいが、何だって財団派はあんなに馬鹿な真似をしたんだ? トレーズ派と2つに分裂するのは分かるけど、そこからわざわざ中東連合に喧嘩を売っても勝ち目はないだろ? 実際、ニュースだと中東連合に負けてたし」
「そうね。エンデュミオンの鷹も出て来て、大活躍だったみたいだものね」
笑みを浮かべているドロシーの姿からは、何を考えているのかは分からない。
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