第57話『雨中の集い』
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
気は想像以上に上昇するのだ。
「これが3倍だと晴登は3人、4倍だと・・・」
「4人!」
「その通り! どうだ、少しはわかったんじゃないか?」
「うん、かけ算って凄いんだね! ありがとうダイチ!」
「うっし、これを待ってたぁ!」
結月のお礼を受けて、大地はガッツポーズ。その様子を見て晴登は、「そういや結月は美少女だったな」と思い直す。そんな娘に感謝されたのだ、男子には嬉しいことだろう。晴登は慣れてしまったが。
とはいえ、自分以外の人物と触れ合う結月に、晴登は安心感を覚えた。
「その例えの勢いだと、九の段とかは大変だろうなぁ…」
話をずっと横から見ていた莉奈は、そう冷静に呟いた。
*
「今日はもうお開きだな」
「「賛成ー!」」
「なんだかんだずっとやってたからな。疲れたー!」
グッと伸びをして、晴登は今日の勉強会を振り返る。
まず、大地はもちろん、晴登と莉奈は課題を終えることができた。しかし、結月はずっと算数をやっていたため、終わっていない。
「一日じゃ全部はできなかったか」
「それが普通だけどな。でもビックリしたぜ、結月ちゃん覚えが早いから」
大地はニカッと笑って言った。
確かに、今日だけで結月は算数をマスターできているはずだ。
並外れた記憶力、というよりは吸収力だろうか。異世界からこちらに来ても、馴染むのが早かったし。
「今日は悪かったな、大地。雨の中来てもらったのもあるし、結月に教えてくれたのもあるし、感謝してる」
「気にすんなって。結月ちゃんとも話せたから、俺はそれで満足だ」
「そうか。今日はホントにありがとうな。じゃあまた」
「おう」
大地はそう返事すると、三浦家を後にした。
玄関のドアが閉まった途端、一瞬で室内が静まり返ったが、まだ家には一人居る。
「…なぁ莉奈、お前今日はやけに静かだな・・・って、何してんの?」
「見ての通り、プリンを戴いております」
部屋を振り返ると、ソファに横たわりながら、勝手に冷蔵庫から取ったのであろうプリンを、幸せそうに頬張る莉奈の姿があった。
もちろん、晴登は理由を問う。
「なぜ?」
「気を利かせて、静かにしててあげたんでしょう。お礼ぐらい貰っていいでしょ」
「お前気遣いとかできたんだ」
「だいぶ失礼だよ晴登」
静かにしててあげた、というのは結月の為だろう。軽口を叩きはしたが、莉奈の行動には感謝する。
「じゃあハルト、ちゃんと結月ちゃんの課題を手伝ってあげてよ?」
「はいはい…」
結月が課題を終わらせるには、必然的に晴登
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ