第57話『雨中の集い』
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。こっちからも頼むわ」
痺れを切らした大地が、晴登に交代を申し出る。無論、大地の方が賢いので、晴登が説明するよりはいくらか良いだろう。
「さてと、まずは自己紹介をしようか。俺は鳴守 大地。晴登の親友だ。よろしく!」
「ボクは三浦 結月。ハルトの許嫁です。よろし──」
「おい待てストップ!?」
いきなり自己紹介を始めた所は許容するとして、明らかに怪しい点を発見した晴登は、直ちに会話を遮る。
会話する機会を邪魔されたのが不服なのか、大地は晴登をじっと見据えた。
「どうした晴登?」
「いや『どうした?』じゃないよ! おかしかっただろ、今の自己紹介!」
「俺はちゃんとしたつもりなんだがな…」
「お前の事じゃねぇよ!?」
「別に疑いはしねぇよ。むしろ納得した。そうか、許嫁だったのか…」
「やめろォ!!?」
必死に弁明するも、聞く耳持たず。
大地は晴登を無視し、強引に結月との会話を再開した。
「さて、早速かけ算について教えていこう。準備はいいか?」
「うん、いつでも」
「よし。じゃあ、まずは2倍とか3倍の概念からだ。例としてはそうだな・・・晴登でいいや」
「──待て待て待てぃ!」
真面目に教えそうだったから黙っておこうと思ったが、そうや問屋が卸さない。
大地は「今度は何だ?」と言わんばかりの顔だが、むしろツッコまれないとでも思ったのか。
「何で俺が例えなの?! 他に有るだろ?!」
「いや〜結月ちゃんにはこれが良いかなって」
「ボクは気にしないから大丈夫だよ、ハルト」
「そ、そうか……」
少しどころかかなり腑に落ちないのだが、結月が気にしないと言うので、大人しくしておく事にする。
それでも、自分で例えられるのはあまり良い気分ではない。
「話を続けるぞ。まず晴登が1人居るとしよう」
「そもそもハルトは1人だけど?」
「そこはスルーしてくれ。例えばここで晴登を2倍するとする」
「すると・・・?」
結月は興味津々といった様子の面持ちだ。
それを見て大地はニヤリと笑ったかと思うと・・・
「晴登が2人になる」
「へ?」
今しがた素っ頓狂な声を上げたのは晴登だ。大地のことだから、何かしら凄いオチがあると思ってたのだが、まさかのそのまんま。タメの意味がない。
「ちょっと大地、それって──」
「なにそれ凄い!!!」ズイッ
「うおっ、結月!?」
結月が身を乗り出し、驚きをアピール。その瞳はキラキラと輝いており、至高の表情だ。
晴登は察する。そして、苦笑いするしかなかった。
自分を例えにすれば、結月のやる
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