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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三十六話 真実
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ンに戻れば間を置かずに処断されるはずです」
「……」

「エーリッヒの帰還は認められませんでした。それを認めるには全てを公表する必要が有ります。カストロプ公という贄の所為で三百万もの将兵が死んだと……。それを認められるくらいなら最初から贄等必要とはしない……」
キスリングの声には侮蔑の響きが有った。彼が蔑んでいるのはカストロプ公か、それともリヒテンラーデ侯か、或いは帝国か……。

「エーリッヒは裏切り者であり、ヴァンフリートの虐殺者である。それが帝国の公式見解です。カストロプ公が処断されてもそれは変わりません。真実が表に出る事は無い……」

「キスリング少佐、卿を襲わせたのは……」
躊躇いがちにリューネブルクが問いかけた。

「リヒテンラーデ侯でしょう。ブラウンシュバイク公とアントンに対する警告です。これ以上この件に関わるな、というね。これが我々が住む帝国の真の姿です、地獄ですよ」
キスリングがまた笑い出した。虚ろな笑いだ、地獄を見た人間の笑い声だと思った……。






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