第87話 撤退
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
西郷討伐に関して、明治政府は本気ではなかった。
圧倒的な武力の差を見せつければ、投降するだろうと甘く考えていた。しかも、西郷を失くのは、政府の痛手だという考えもあった。
が、しかし、熊本城まで攻め込んできていた薩摩軍を最早長い目で見ることは、出来なくなっていた。
特に幕末明治の怪物・岩倉具視は、西郷をすでに疎ましくなってきていた。
それは、征韓論から始まっていた。
西郷の親友で擁護派だった大久保も、最早庇い切れなくなっていた。
「西郷、討つべし。これ以上、戦いが長引けば諸外国に対抗できる国は造れない」
と。
これにより、明治政府軍は、本気を出さざるを得なくなってしまった。
西郷も政府軍が本気を出すとは思っていなかった。できれば、政府と話し合いで解決したかった。
そう、数多の戦火にいた西郷ではあったが、話し合いで解決できればそうするのが一番いいと自分自身は思ってやまなかった。が、本気を出し始めた政府軍は、有象無象の薩摩郡とか統率されているし、設備も段違いである。
西郷軍は、熊本城攻略戦に敗れ去り、追い詰められ初めていた。
「た、但馬殿、本当に大丈夫なんでしょうな?」
ますます大山は、狼狽え初めていた。
それもそのはずで、すでに宝蔵院、岡田、高杉、荒木と4人もの剣豪達が十兵衛に敗れ去った。
いくら剣豪・柳生十兵衛とて4人もの剣士達を相手にすればただでは済むまいと思っていたが、難なく撃破され、上がってくるというではないか。
「大山殿、お主も武士の端くれであったのだろう?武士なら武士らしくどっしと構えて覚悟を決めるときは決めないとならぬ」
但馬守は大山を見ることなく、静かにそして威厳がある声で言った。
(化け物め)
大山は但馬守を睨みつけた。
(が、危うくなれば、おいだけでもここを脱出してやろう。あとは化け物同士食い合えばよか)
大山は、ふんと鼻を鳴らした。
「大山殿、この城からは抜け出すことは不可能ですよ」
天草は大山の心を読んでいるかのようににやりと笑った。
「この城は、我が破れれば出ることはかないますが、それ以外で出ることはかないませぬ。まぁ、我が、いや、我らが負けることないでしょうが。のぉ、但馬殿?」
天草の問いに但馬守が不気味に微笑んだ。
「さて、大山殿。我らを信用していただきたい。未だ、新免・武蔵殿もこちらにはいます。必ずや、十兵衛を打ち倒してごらんにいれまする」
天草は自信満々に微笑んだ。
「それならば、よいでごわすが・・・・・・」
大山は言いよどんだ。
「では、次は我らが行きましょう」
つかの長い刀を脇に刺した女性なのかと思わせる程の顔をした剣士とこれまた同じく美しい顔をそた少年が立ち上がった。
「ほう、行くのか。坊太郎」
但馬守が微
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ