第42話 合宿に向けて?
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「そういや真姫」
「……なに?」
「別荘、山の方にもあったりしないか?」
「あるわよ」
ビンゴ。やはりそうでしたか。
以前海に行った時にそれらしい事を呟いていたような気がしたから口にしてみたが。ということは宿泊費を浮かせることができるな、と間違いなく全員が考えるだろう。一応スクールアイドル研究部も、人数や実績も認められているため、生徒会の方からかなりの額の部費の援助を受けている。
とはいえ、衣装代やライブに向けた準備費、あるいは交際費などもそこから支出されるために極力抑えたいところではある。
だから真姫という、彼女に決して言いたくないし言わないが、こうしたお金持ちのお嬢様がいるだけで資金面において大助かりなのであった。
「ほんと?それなら助かるなぁー! 宿泊費を含めると今月の部費が底を尽きかける寸前だったし、宿泊費として使わない分を衣装代に回すことができるから、今度のライブも可愛い衣装作れそうだもん!」
ことりが書類と電卓を交互に見比べて、嬉しそうに両手でパンと叩いてはしゃぐ。
……そして今初めて知ったが、部費の管理もことりがしていたのか。
いや、最近になって『俺らの部費は誰が管理しているのか?』という、かなり……いや。非常に大事なことを疑問に思っていたが。
まさかそれすらもことりがしているとは思わなかった。
衣装作りに振付作成、部費の管理、練習。更には学生の本業である勉強やアルバイトもしている彼女だ。
「(……あれ?もしかして全部ことりに頼りっぱなし!?)」
衝撃のあまりゴンッ! と、机に額をぶつけるもお構いなしに頭を抱える。
当然みんなから変な目で見られるが気にしない、というか気にならないくらい衝撃を受けていた。
───俺の必要性とはいったい……!
俺はサポート役、言い換えるとマネージャー。
彼女らの健康管理の他にもなるべく負担をかけないように裏方の仕事をするのが本来の俺の役目であって、ただ彼女らの一番近くで応援するだけの存在ではない。そんなのはそこらへんに転がっているファンでもできる。
なのに、気づかずにいるなんで何たる失態だよちくしょうめ。
「……ことり」
「ん? なぁに?」
「俺に後で付き合え」
「……付き合うって、え?えぇっ!? そそそんなまだ早いよそういうのは!!」
早いというのは部費の管理の仕事が、ということだろう。
俺はまだ彼女の力になれないとでもいうのか?
「早いも何も、遅すぎたんだよことり。今まで気づいてやれなくて…ごめんな?」
「え、や、あの。は、恥ずかしいからみんなのいるところで言わないでよぉ〜」
顔を上げるとなぜかことりが両手で顔を隠している
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