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俺たちで文豪ストレイドッグスやってみた。
第6話『月下舞踏』
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れじゃぁ私、いつまでも仲間になんてなれない……。

 気持ち、沈んでしまう。
 視線、落ちてしまう。
 どこまでも暗く、深く、思案の混沌へと堕ちて──

「──良いんですよ、自分の意見を言って」
「え?」

 絵里がふっ、と顔を上げると、達也が彼女を見ていた。背の高い彼からは見下ろされる形になる。その、影に隠れて少し表情が読めない彼は、先程まで迷っていたとは思えない、朗らかな表情で告げる。

「健さん。俺は反対だ。俺は、健さんがそこまで苦しむべきだとは思わない。誰も苦しまずに、この事態をより良く解決する方法は必ずある。それを探して見せるのが俺の役目だったはずだ」
「……達也君」

 達也は再び絵里に向き直ると、ふっ、と笑った。

「絵里さんも、自分の思った通りに言ってください。リップサービスなんて要らない。自分の思ったことを、誤魔化さずに伝える──『仲間』って言うのは、多分、そういうものです」
「あ……」

 ──そうだ。
 ──それを。その、隔たりのない空気を、感じたから。

 ──この人たちの仲間になりたいと。この人たちの仲間になれたんだと。

 そう、思ったのでは無かったか。

 顔を上げたとき、絵里の瞳に迷いはなかった。眼鏡のレンズの向こうには、決意の光が宿っていた。

「私は、本部に行きたいです」
「……理由は?」

 兵児が問う。冷たい声。先程までの優しい声や、街に護衛に出てくれたときとは違う、こちらを値踏みするような音。
 試されている──でも、負けられない。
 今ここで、怖じ気づいて思ったことを口に出せなかったら、それは仲間の絆ではない。上と下。服従と被服従の関係だ。
 望んでいるのはそれじゃない。マフィアたちが望んでいるのは、きっとそれだ。
 私は──そんな風に、なりたくない!!

「私は知りたい。私がどうして狙われているのか。あの男の子が語ったことは真実なのか。古代機(オーパーツ)なんてモノを以て、あの人たちが何をしようとしているのか」

 暫しの、静寂。
 それから、静かに。

「危険だよ?」

 健は問う。

「分かっています」

 絵里は応える。もう、迷わない。

「それが、真実の扉を開くって、信じていますから」
「──分かった」

 達也、と、健が言う。達也は暫くの間、じっと健の眼を見ていた。が、数秒後、はぁ、と大きなため息をついて頭を掻いた。

「仕方ないですね……分かりましたよ。賛成してあげます」
「さっすが達也! 分かってるゥ!」
「ただし! 絶対安全が最優先ですからね」

 体も、心も。

 達也がそう続けた理由は、今の絵里には分からない。けれど、これで良かったのだ、という、達成感のようなものと、わずか
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