第一章
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高くて悪いか
大林亜美は長身である。一七〇近い。
すらりとして脚も奇麗だ。尚且つ胸も結構ある。
顔立ちもモデルの様に整い黒髪も奇麗だ。とにかく美人だ。
だが背が高い。男子生徒から見てもだ。それでだった。
今一つ人気がなかった。男子生徒達は実際にこう話すのだった。
「大林はなあ。奇麗だけれどな」
「しかもスタイルもいいけれどな」
「尚且つ性格もいいよ」
「明るくてな」
「いい感じだよな」
非の打ちどころはないというのだ。だが、だった。
やはりネックはあった。そのネックが問題だった。
「一七〇あるよな」
「ああ、普通にあるだよ」
「どう見ても一六七はあるな」
「でかいんだよな、ちょっと」
「大き過ぎるんだよ」
それが問題だというのだ。
「俺と同じ位だからな。ちょっとヒールのある靴はかれたらな」
「ああ、俺達背で負けるよな」
「女の子より背が低いとかな」
「ちょっとなあ。困るよな」
「背って大事だからな」
「意外と以上にな」
とにかく彼女の長身が問題だった。それでだ。
亜美には女友達だけでなく男友達も多い。しかし友達であってもだ。
彼氏はいなかった。それで女友達にこう漏らすのだった。
「私ね。とにかくね」
「背が高いっていうのね」
「そう言うのね」
「そうなのよ。この背のせいで」
どうかというのだ。困った顔で。
「彼氏できないのよ。遠慮してね」
「だってね。私達から見てもね」
「頭一つ大きいからね」
「少なくとも十センチは違うから」
「大きいわよね、本当に」
「モデルみたいって言えばいいけれど」
だが実際にだ。モデルの様な長身の彼女が傍にいると、というのだ。
「男の子にとっちゃ困るでしょ」
「というか亜美の家系ってお母さんもお姉さんも背が高いわよね」
「妹さんも」
「そうなのよ。三人共ね」
まさに彼女達もだというのだ。
「一七〇はあるのよ」
「高いわね、やっぱり」
「ちょっと以上にね」
「どうしてもね」
「それが問題よね」
「そう。そのせいでなのよ」
また言う亜美だった。困った顔で。
「お母さんもお姉ちゃんも妹もちゃんと結婚できたり彼氏いるけれど」
「あんたのお父さんも背高いのね」
「お義兄さんも妹さんの彼氏も」
「三人共普通に一七五超えてるわ」
やはり大きい。日本人の基準では。
「けれど私の場合はね」
「いないのね」
「そうなのね」
「背の高い人って普通はね」
どうかというのだ。そうした男は。
「小柄な娘に目がいくじゃない」
「そう
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