The fate episode
Epilogue
進行度 4/4
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く、仲間が集ったから団となった。というところか。
思わず涙腺が緩む。一年前まで何処と無く頼りなく、剣や魔術の腕前も並で料理も苦手としていた彼女が今やこれだけ慕われるようになったのだ。成長を喜ばずして何が幼馴染か。
「止めてよ恥ずかしい」
ジータが山の中で頬を羞恥で赤く染める。これだけ慕われているのだから照れずに堂々とすればいいのに、なんて思うが恥ずかしがるからまた愛されるのだろう。
「それで、いつになったらどけてくんだ?」
動かなくなっていた腕が弱々しくも動き苦しさを主張する。まああれだけ人間が重なり合えば下の人間は圧死しかねない。
「情けないわねラカム。男なら人の十人二十人片手で持ち上げてみなさいよ」
山の上でコルワが叫ぶ。随分と男に物を求める。彼女と夫婦になる人間は大変だろう。今のうちから少し同情してしまう。
「無茶言うなよ。重えのなんの」
「冗談言わないでよ。乗ってる半分は女性よ? 半分は羽根みたいなもんでしょ」
「その羽根は鉄ででも出来てんのか?」
ラカムと呼ばれた腕からの返答に、コルワは溜息をついてから山から飛び降りた。続いて先の少女や女性団員が降りていく。やっとラカムとやらは開放されるようだ。
「と、まあこういう具合だ」
やや強引にだがバザラガがまとめる。
「他の団員は」
人間の山にいた人物以外にも、団員は居たと記憶している。
「納得するさ」
「そんな人間に背中を預けられるかよ」
納得しているのでは駄目なのだ。生死を分ける状況で信じられなければ。
「なら入ってから信頼されるようにするんだな」
「おいおい、待てよ入るとは――」
「――入らないのか?」
部屋中を見渡し、入り口で屯する団員達を見る。いない。
「どうした?」
「いや……」
バザラガが突然視線を動かした俺に不審そうに声をかけるが、俺は濁った返事しか返せない。頭に直接響くように聞こえた声は、ジ・オーダ・グランデの少女のものだ。見られている。その上で、入ることを強制しているように聞こえた。
断れば俺とジータどちらかしか監視出来ないので一緒に居たほうが都合が良い、ということだろうか。断った時は、果たしてどうなるか。
「入るよ、入るさ」
あの少女の気配が消えた、気がした。
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