The fate episode
Epilogue
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部屋を満たす空気が変わる。ジータを庇うような繊細な空気は薄れ、害意と憐憫とが俺に向けられる。ジータがシルヴァを中心にと先言った理由がわかる。ただ単純な言葉回しではなく、言い方や彼女の佇まいが団員達に彼女の言葉を正しいと認識させているのだ。
「団長が辞めたい、というのならば私達は止める術を持たん。然しながら先に決めると言った以上、団長がその任を解けば、我々は民主的に決定した方法でその男を裁こう」
「なっ」
ジータが俺の前に踏み出そうとするのを遮るように俺は声上げる。
「民主的に、だろう。メーテラを呼び戻すのか?」
「そうしたいが、それは随分と難しい任務だ」
シルヴァが口角を持ち上げる。
「ジータ、団長としてメーテラを呼び戻してきたらどうだ」
俺がそう言えば、ジータは皆の顔を見渡しながら迷ったものの、分かったと食堂を出ていった。
溜息を吐く。これで彼女は少しくらいは考える時間が出来ただろう。皆が彼女を思っていた事を理解してくれた上で、きちんと選択してくれれば良いのだが。
気づけば団員達が此方を見ている。気まずいことこの上ない。
「何だ」
吐き捨てるように言えば、大男が此方に近づいてくる。名は、確かガンダゴウザといったか。
大男が手を俺の頭に乗せる。おいおい、小さな子どもも見ているここでぶち転がすのか。
「お前も難儀じゃな」
そう言うとガンダゴウザは俺の頭を乱暴に撫でる。戸惑う事しか出来ないのでなされるがまま暫くすると、彼は口を開いた。
「討てと言われたが、我々は討てなかった。お前は我々を殺すべきだったが殺さなかった」
復讐を演じるならば。もし本当にジータに殺されたにのならば。何人か彼らを殺したほうが都合が良かっただろう。
「それだけのことじゃ。案外どっかの小娘はお前に感謝しているかもな」
視線を動かせば、カレンと視線が合った瞬間彼女はそっぽを向いた。話す限り、彼女はジータを本気で心配していたし怪我を庇うが構わなかった、というところか。
「しかし、それで終わらぬのもまた重々承知じゃろう」
声の質が変わる。ああ、このおっさん本当に良い人なんだな。
「あんたも難儀だな」
「……まあな。さて、予め言っておくぞ。耐えろよ」
ガンダゴウザは俺の腹へ拳を叩き込む。俺は椅子から吹き飛んだ。痛みと吐き気に耐えながら顔を上げれば、コルワもシルヴァも此方から視線を背けていた。痛ましい事には目を向けていられないってか。
「全員見ておけ。目を逸らすな」
ガンダゴウザは団員にそういうと、俺に近寄ってくる。
メーテラを連れてジータが戻ってくるまで果たして何分だったか。もしかすれば一分も経っていないかもしれない。
しかしながら、抵抗しない俺をガンダゴウザがぼろ雑巾のようになるまで殴りつけるのには十分すぎ
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