The fate episode
Epilogue
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「今やその点しか論争ではないでしょう? ねえ、団長さん」
エルーンはそう言うとメーテラと同じように外へ向かう。
「お待ちなさいコルワ」
団員達の中から声が上がる。確か、フィーエという女性のものだ。コルワと言われた女性は立ち止まる。
「メーテラといい貴方といい、エルーンの方々は背中で語るのが好きと見えますわね」
エルーン族の伝統的な衣装は、男女問わず背中を大きく出す形状のものが多い。フィーエはさっさと背中を見せて出ていこうとする二人をそれにかけて皮肉っているのだろう。
「格好いいでしょ?」
コルワが冗談めかして言えば、フィーエもそれを見て軽く笑う。
「ええ、殿方であれば」
コルワは苦笑し肩をすくめ、改めてジータの方へ向いた。
「私は貴方の元でハッピーエンドを見てみたいと思った。もしそれが叶わないのであれば、この場所を去るのみよ」
ジータの表情が変わる。見れば、他の団員達もコルワと似たような表情を浮かべている。
「ほう」
軽く声が出てしまう。皆、彼女の下ではないと騎空士になりたくはないということだ。俺みたいなやつがこんなにいるとは、少し感激。
「それでいいの?」
ジータが絞り出したような声をだすと、対してコルワは笑みを浮かべて明るく声をだす。
「それがいいの」
ジータは黙する。ジータが団長を辞めれば、残るのは何人だろう。
というかそろそろ。
「ジータがどうしたいか、だろう。そこを明白にして欲しい」
この場に連れられて、初めて俺は声を上げた。拘束されたまま目の前で騒がれ続けるのはあまりにもいたたまれない。
コルワは此方を睨む。……正直怖い。
「皆そう思っているだろう。それに、責任で辞めるってなんだよ」
ジータは俺から視線を外す。確かに、あの戦いはジータが罪悪感に苛まれなければ俺は起こす必要はなかっただろう。しかしながら。
「裁かれなければならないのはお前じゃないだろう?」
視線をシルヴァに向ける。彼女は僅かに目を瞑った。
「団長や私の不手際があれど、それは全て戦闘時における致し方ない失敗であった」
シルヴァに全員の視線が行く。本当にこの女性は頭が良いというか、機転が利くというか。正直な話尊敬する。彼女くらいできる人間は、あのぶっ飛んだ莫迦者のモニカとやらしか知らない。
「責任、と言われれば取らざるを得ない。かと言って、毎度罰則を設けていては士気に関わるのは道理であろう?」
コルワを始めとする団員が頷く。皆、団長を辞めさせたくはないのだ。頷く他はない。……分かっているとはいえ、次の言葉を聞くのは緊張する。
「なあなあにするつもりは毛頭ない。然しながら、本当の意味で今回の私闘を作り上げ、且つ皆に直接的な危害を加えた人間がそこにいるだろう? 私達は、彼にこの戦いを仕組まれたのだ」
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