The fate episode
Epilogue
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しあのままであれば、私は死ぬまでグランに怯えて生きる事になった。その事によって皆を危険に晒す事もあっただろう。今は結果として、私はグランに怯えることなく今まで以上に皆を強く導ける団長になったと自覚している。しかし!」
ジータが大声を出せば、比較的年齢の幼い団員達は震えた。
「私の失態により団員殆どが負傷したのは事実。私自身、私の不甲斐なさに呆れ果てると同時に腹が立つ。故に、この場を持ってして、私は団長をやめさせて頂く」
団員たちの間に衝撃が走る。しかしジータの言葉は止まらない。
「先語ったように、先日の戦いは私闘であるのだ。それに私は皆を動員した。お前達は私の私兵ではないにも関わらず、だ。これは騎空団としての本質を失ったものである。次の団長はシルヴァを中心に」
「――待った」
その声は、いやに良く耳まで届いた。
「メーテラ、発言は控え」
「良い。なんだ」
シルヴァの制止の声をジータが遮る。メーテラとやらは団員たちの合間を通り団長の前まで行くと、少々苛ついた顔で口を開いた。
「何勝手言っちゃってんの?」
「勝手? そうだ、勝手に私兵化したから」
「そういう事じゃないのよ。正論ばっかりの演説なんて聞きたかない。それにあんたら!」
メーテラは後ろを振り返り、団員たちに活を入れる。
「この中で団長に命を救われたってやつや、団長のお陰で生きる指針見つけたやつだって多いでしょ。なんであんたらが黙ってんのよ!」
団員たちはばつが悪そうに視線を逸らす。驚くと同時に、少しばかり安心する。ジータは金で団員を集めたりとかそういったことはしていないようだ。
「いい、私の妹はあんたに世話になった。私の村はあんたに救われた。あんたは依頼じゃなくても救えると思ったら戦ってくれた。私兵化なんて言われりゃそうかもしれない。けど、公に生きて金と契約で動いてちゃただの傭兵集団でしょ。あんたの言う騎空団としての本質ってそんなもんだったの?」
「違う! けれど、けれど! 私は貴方達を見捨ててしまうかもしれない! 見捨てられないからこそ被害を増やしてしまうかもしれない!」
ジータの絶叫こそが彼女の本心だった。見捨てたという自責の念と、見捨てなければ全員死んでいたという免罪符が一年間彼女を苦しめていた。それはずっと俺に対して持っているものだったが、俺が生きていた以上それは俺だけじゃなく仲間全員にも「失う恐怖」として発露する。
「誰にも死んでほしくない、そう考えた時に私は動けなくなってしまった。もしグランと同じようになった時、私は見捨てるのか見捨てないのかが分からない」
「けっ、大層なご高説垂れる割には悩むところはちっさいのね」
メーテラはジータに尚も近づき両肩に手を置く。
「どっちでも良いわよ。それで私が死のうともね。先にあの世で宜しくやってる
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