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二人の騎空士
The fate episode
Epilogue
進行度 1/4
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く言う。あれで何人の負傷者が出たと思っている。いや、単純な怪我人じゃない。精神的に治療が必要になった人間もいるんだぞ」
「それについては申し訳なく思っている。一年であれ程の強者どもが集まるとは思っていなかった。此方も文字通り死ぬ気で戦わなければ本命のジータとは戦えなくなってしまうから、死に物狂いでやらせてもらった」
 星晶獣を使ってまで戦ったのだ。あれを女子供が見ていたならば精神に異常をきたしてもおかしくはない。
「……ジータと戦った後は」
「ジータが俺を殺せるかは正直賭けだった。まあ結局のところ、ジータは俺を殺せなかった。けど俺が生き残ったところでどうなる。団員たちは俺を血祭りに上げるだろうし、ジータがそれを止めるような事態になればジータの団長としての資質が疑われる。だから自然、自殺という方法しかなかった。その後のジ・オーダ・グランデは完全に想定外だ。まさかあんな化物がおいでになるとは思っていなかったよ……そうだ、あの後はどうなったんだ? まさかお前らが追い払った、てわけじゃないだろう?」
 バザラガは入り口付近のシルヴァに視線を向ける。シルヴァは無言で頷き、扉を開けた。入ってきたその人物の姿を認めた瞬間、俺は拘束具を引きちぎろうとする。
「落ち着け。今争うつもりはない」
 入ってきた人物はジ・オーダ・グランデと名乗っていた少女だ。あの時のような鎧や髪型ではないので一見しては分からないが、内に秘めた力は人のそれではない。
「……無礼を働きました、申し訳ありません。それで、これはどういったおつもりで」
「今更礼を尽くさなくても良い。それより、話は聞かせてもらった」
 息が詰まる。この場でしくじれば、この少女の力によって全員があの世行きだろう。
「確かにお前達は秩序を崩しうる可能性を持つ。特にグラン、お前とそこに眠るジータとやらは看過することは到底できない。……しかしながら、私はあの場で互いに信頼し背中を預けるお前たちを見て、私は自身のあり方に疑問を持ったのだ。だからお前が倒れたときに剣を収めた」
 少女の力強い目線に目を逸しそうになる。しかしそれを耐えながら見つめ返す。
「俺達を見逃すなら、それ以上は望みません」
「言わなかったか? 看過は到底出来んと」
 心臓が止まるようだった。背中を冷や汗が伝う。
「故に、暫くお前達の元にいる」
「……はい?」
 理解が及ばない。これほどの強大な存在が、俺達の近くに暫くいるというのはどういうことだ。
「此度の事で痛感した。事象を見て裁くだけでは秩序は守られない。かと言って、ジ・オーダ・グランデそのものが人として裁くのでは秩序がなんたるかを忘れよう。故に、ジ・オーダ・グランデの内、お前達と姿形の似る私に人間の常識等を教えて貰いたいのだ。お前たちの監視のついでにな」
「断れば?」

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