The fate episode
二人目の騎空士
進行度 7/7
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
ガの「そうだ!」という声が返ってきた。そう言えば、バザラガはグランにソフィアとシルヴァを連れ戻す依頼をしていたのだったっけ。
グランが立ち上がる。満身創痍だが、その目にはまだ闘志がある。
「失礼だが、こいつらを殺させるわけにはいかないんでね」
そうやって、嘗てのように困ったような笑いを浮かべながらグランは私の前に立った。
「ジータ!」
「グラン!」
背後からの呼びかけに振り返れば、いつの間にか艇から降りていたゼタとバザラガが私とグランの武器を此方に投げていた。数十間飛翔してきたそれを、私とグランは難なく掴む。そして二人で視線を交わし、口を開かぬまま互いに頷き合う。
痛覚を鈍らせ、今でも出血を抑えるように魔術的な治療を加えているとはいえ左腕に力は入らない。グランも、見れば右腕の傷を治療しているようだがそれも遅々としていて到底右腕は使えない。しかも互いに魔力の残りは殆どなく、体力も立っていることが精一杯。平素の一割の力も出ないだろう。今では並の星晶獣どころか街のごろつきにも負けかねない。
しかし、臆さない。今グランは団員の為に戦うと言い、私も団員たちの為に戦うと決意している。例え数分前まで殺し合いをしていようが、私とグランが力を合わせるのだ。何を恐れることがあろうか。
私は剣を右手で持ち、グランは野太刀を左手に持ち、二人背中合わせに構えて切っ先を少女に向けた。
「往くぞ、人の子よ」
少女が小さく言葉を放つ。
「来い」
「来い」
それに二人で同時に答えながら、三人が同時に一歩を踏み出した。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ