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二人の騎空士
The fate episode
二人目の騎空士
進行度 7/7
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わらぬ少女が乗っていた。少女は竜から飛び降り、私達から十間程先へ着地する。彼女が乗っていた竜と他にも小さな竜が彼女を守るように付近を滞空した。
「世界の均衡が崩れる可能性が生まれた時、私は顕現する」
 少女のよく通る綺麗な声は、しかし私には緊張しかもたらさない。いや、グランも感じ取っているはずだ。見た目に騙されてはいけない。あれはプロトバハムートの様に、強大な力を携えている。
「人の子達よ。お前達たちは秩序を乱す可能性を持っている」
 少女が剣を構える。ようは、一つの島の港を壊滅させるような人間は危険分子、ということか。
「確か、グランと言ったか。以前もバルツの街を荒らしただろう」
 グランを伺えば、グランはばつの悪そうな面持ちをしていた。見に覚えがあるのだろう。
「あの時は赤の騎士や秩序の団も傍に居た故に関与しなかったが、此度は違うぞ」
 少女の言葉に害意が滲む。
「待てよ、お前は何者だ」
 少女はグランをしかと見つめる。グランは目を逸らさずそれを受けた。
「我々の名前はジ・オーダ・グランデ」
 グランデ、オーダ……もしや、彼女は。
「貴方が、秩序の権現と言うの?」
 私に視線を向けた少女は頷く。
 嘗て、まだ星の民と空の民が戦争をしていた時代に、第三勢力とも言われる者たちがいた。空の民にも星の民にも属さず、どちらとも不干渉を貫くか、またはどちらとも諍った古強者の事だ。
 その殆どは後世の創作と言われている。当たり前だ。空の民、星の民共に世界を二分する程の勢力であり、敵対などできるはずがない。すれば忽ち殺されよう。
 ジ・オーダ・グランデもそんな昔話の一つ。竜を従えた少女が、種族を問わず、勢力を問わず、秩序を齎したという昔話。本気で信じている人間なんて居ないはずの、お伽噺。
「有り得ない。そんなお伽噺の存在が実在するなんて」
 自分で言いながら、しかしと否定する。あの少女の存在の密度が人間のそれではない事は見て分かる。あれは人の形をした別のもの、と言われたほうがまだ理解できる。星晶獣の一体や二体では到底足りない。十、百、もしくはそれ以上が集まって人の形を取ればあのような規格外の存在になるだろう。
「ならばお前達全員、そのお伽噺に討たれろ」
「待て! 全員とはなんだ」
 少女は剣を握らぬ左手で、グランサイファーを指差した。
「あの者たちにも世界の均衡を揺るがす可能性があるのだ」
 言葉に迷う。つまり、この少女はその莫大な力を持って私達を皆殺しにすると言うのだ。
「バザラガ!」
 グランが声を張り上げる。そうすれば、艇の方からは「何だ!」とバザラガの声が返ってきた。距離があるためそうでもしないと声が届かないのだろう。
「シルヴァがまだ艇に戻っていないから、依頼はまだ終わっていないよな!」
 艇からはバザラ
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