第四百三十話
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第四百三十話 酪とパン
酪、つまりバターをパンに塗って食べると美味かった。それで亜美はそのパンを食べてからセレニティとアルテミスに言った。
「今度は醍醐を作るけどな」
「その前にですね」
「いいおやつになりましたね」
「蘇と一緒でな」
先程作ったそれと同じくというのだ。
「美味しかったわ」
「錬金術でも美味しいものが作られる」
「そういうことになりますね」
「そや、この酪とパンな」
酪はパンと程よく合わさり美味かった、その美味さに満足してそのうえで使い魔達に言っているのだ。
「昔は絶対にない組み合わせやな」
「というか昔は日本にパンはなかったので」
「それは仕方ないですね」
「むしろ昔はどうして酪を食べていたか」
「そこも気になりますね」
「そやな、というかな」
こうも言う亜美だった。
「酪ってバターやないかも知れんし」
「何でもミルクかも知れないのですね」
「所謂熱して濃くしたコンデンスですね」
コンデンスミルクではないという説もあるというのだ。
「その辺りはわからないですね」
「どうにも」
「はっきりはな、けれどコンデンスミルクなら飲めばええけど」
そのまま、というのだ。
「バターやったらそのまま食べても何かちゃうかったやろな」
「チーズやヨーグルトと違い」
「そうだったというのですね」
「そうも思ったわ、どうやろな」
こう言うのだった。
「ほんまその辺りは」
「当時でないとわからないですね」
「その時代にいないと」
「ほんまやな」
自分が作った酪とパンを食べての言葉だ、そして。
亜美はあらめてだ、自分の使い魔達に言った。
「さて、食べたし」
「次はいよいよですね」
「最後ですね」
「醍醐を作るで」
つまりヨーグルトをというのだ。
「そうするで」
「はい、わかりました」
「それでは今より」
「これで最後や」
錬金術で作る昔の日本の乳製品はというのだ。
「頑張って作るで」
「それでは」
使い魔達も応える、亜美も彼等の言葉に意気込んで向かった。
第四百三十話 完
2017・3・16
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