SIDE:A
第十五話
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物の確認、キャンプできそうな場所の確保などから始めた。
この森に住む動物は弱肉強食の世界に身を置く猛者たち。今まで出会った熊や大蛇など殺気立っている。少しの気の緩みが死に繋がる、まさに自然の摂理がここにあった。
不思議なもので、普通に――といったら語弊があるだろうが、生活しているうちに自然と周囲の気配というものに敏感になっていくもので、近くに潜む動物などの気配はもちろん、その大きさや動物の状態などもなんとなく分かるようになってきたのだ。向こうの木陰に虎のような動物が息をひそめている、だとか。あの熊は興奮状態にある、だとか。自分で言うのもなんだけど、適応力半端ないっす。
気配に敏感になっていくと、今度は自分の気配にも気を付けるようになるもので。大蛇に見つかった、よし即殺だ!なんて選択はあまり取りたくない。
自然の中、我が身一つで生活していると、普段は意識しない『食べる』という行為にも感慨深いものがありまして。よく命を恵んでくれる食材に感謝の心を、なんて言葉を聞くけど、実際その日の食料を自給自足で調達する難しさというのを味わうと、身に染みて感じるものだ。
そのため、極力食事で必要とする動物や魚以外の命は取らないように心掛けている。熊や大蛇などに遭遇しても気絶させるに留めてね。気絶している最中に他の動物に襲われてご臨終した場合は知らん。弱肉強食の世界なのだから、命の危機を察知できなかったソイツが悪いということで。
四日目辺りから大分環境にも慣れてきたため、当初の目的であった術開発のヒントを得る修行を始めることに。
今回俺が目標とするところは『自然と一体になる』『命というものを知る』という抽象的かつ哲学的なもの。この二つを少しでも理解することが出来れば、現在開発している創造忍術が完成に近づくと思うのだ。たぶん。
そんなこんなで始めた修行が、目隠しでのサバイバル。包帯でぐるぐる巻きにして視界を封じたのだ。
視界を閉ざすことでそれ以外の五感を研ぎ澄まし、より深く『自然』というものを感じるべし!という意気込みの元始めました。やっぱ人間、視覚に頼る生き物でして、慣れるまでメッチャ苦労しましたよ。
匂い、音、肌に感じる風の流れや温度などで、状況をすべて把握しないといけないから初めのうちは結構死に掛けた。それまで離れたところで見守っていたクーちゃんが慌てて飛んでくるくらいには。
目隠しをした初日はぶっちゃけ恐怖との戦いだった。それまで以上気配に敏感になっているため少しでも物音がすると途端に反応を示してしまう。常時緊張のしっぱなしで、気を落ち着けて冷静に周囲の気配に気を配ることが出来るようになれたのは、その日の夜になってからだった。
そして、
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