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二人の騎空士
The fate episode
二人目の騎空士
進行度 5/7
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めだ」
 そう言ってグランは自身の剣を仕舞うと、傍に倒れているユエルの元へ向かう。
「寝ているんじゃない、此方を見よ」
 そう言って うつ伏せのユエルを蹴って仰向けにする。
「グラン!」
「皆の者、此方を向け! 此度の殺し合いを見よ! お前達の団長のとの本気の殺し合いをしかと眼に焼き付けろ!」
 叫んだグランは、傍に落ちているユエルの双剣を拾い、片方を私へ投擲した。
 剣の重量はそれ程ではない。現にこの剣の持ち主であるユエルはこの剣を普段逆手に構えている。……しかしながら、彼が投擲した剣はククルの持つ拳銃の銃弾と然程変わらぬ速度を持っていた。腹に当たれは臓物を鳳仙花の如く弾け飛ばせ、頭に当たれば花が咲こう。
 回転しながら近づく剣の持ち手を握り、肩に担ぐように減速させる。その間にグランはもう一本を振りかぶる。そして二人同時に、相手に向けて剣を投擲。剣は同じ速度で互いに近づき互いの中点ですれ違い相手の元へ飛翔する。そして二人同時に持ち手を掴み無力化して自身の武器にする。
 二人同時に一歩を踏み出し、投擲。互いの剣が届くまでに一歩進み掴む。そしてそれが出来なくなるところまで近づくと、二人合わせたように剣を逆手に構えて斬りつける。
 ――それは、演舞のようだった。思えば当たり前だろう。彼と私は幼い頃からずっと互いに稽古を付けていたのだから似通うに決まっている。否、似通うという程度ではない。正しく一緒。一年前まで毎日していた稽古のように、合わせ鏡が如くに剣を振る。
 私が彼の速度に追いつけなくなれば、隙を突くように空いた左手で魔術を練る。しかしグランはそれを読み、距離を取りつつ私の放つ氷の魔術を避ける。
 グランが下がった先で地面を見ず拾うは長槍。私も合わせて地面に転がる長槍を足で弾き空中で掴んで構えた。
 団員が使う槍に明瞭な規格は存在しない。軍属であったものだけではないので当然だし、人によっては特注という人間も居た。そもそも、それが槍であるかという部分も曖昧だ。
 槍とは手に持つ、投げるどちらにしても刺す武器である。その前身となった鉾は刺すだけではなく薙ぐものでもある。団内で刺すのみの用途で使う人間は以外に少ない。それは一つに魔族に使うからという理由がある。
 槍が嘗て戦争で一世を風靡した理由にその扱いやすさがある。人と人とが殺し合う時、下手に薙ぎ払うよりも突いた方がよっぽど簡単で強いのだ。しかしながら相手が魔族となると、威力が乗る薙ぐ、という動作が有効な攻撃手段となる。つまり団員たちが持つ『槍』は鉾としての性質を持つ物が多い。刺すことに特化した細い先端ではなく、重い刃をつけてあるだ。
 グランは此方の胴目掛けて薙ぎ払いを放つ。純粋な筋力差は言わずもがな。加護や魔術で押し返そうとも先の双剣の打ち合いでそれも叶わぬと知っている以上此
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