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二人の騎空士
The fate episode
二人目の騎空士
進行度 3/7
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止めた。ついで、誰かに肩を捕まれ引き戻される。振り返れば、カタリナが沈痛な面持ちでグランを見ていた。
「援護する、ついて来て」
「二時方向を見ろ」
 カタリナの言うとおりに視線を動かせば、そこには帝国軍兵士が十名以上連なっている。彼らは此方を逃すまいと躍起になって駆け寄ってきている。接敵まで幾許もない。
「出発しよ……」
 出発しようと言いかけたカタリナは、不意に倒れ込んだ。見れば、腰辺りの鎧の隙間を矢が抜けている。――動けるのは、私だけ。私が決める。私が。
 グランを回収し出発。グランとカタリナを治療しながら操舵し避難先を見つける。よし、計画に不備はない。大丈夫。私ならやれる。あの程度の兵士なんとかなる。
 ――そんな、そんな理想論で頭を満たした私の視界に、ルリアが写った。その瞬間に、全てを悟る。無理だ。グランのところへ行っても巻き添えを食らうだけ。私が如何な手法を使おうともグランは死ぬ。私が決められるのは、三人がどうなるかという部分だけ。
 私は操舵室に入り発動機出力を上げ、舵を切る。艇は少しずつ、だが確実にザンクティンゼルの港を離れていく。
 これで三人は生き延びられた。彼の犠牲の上に、私たちは生き残ったんだ。
 私は操舵を行っているため、甲板に出て取り残されたグランを見ることは出来ない。
「は」
 口元が歪に釣り上げられる。自分の口から漏れた声が何を意味しているのか、私は直ぐには理解できなかった。
「ははははは」
 暫くして漸く、自分が笑っている事に気がついた。何が二人で騎空士になるんだよ、だ。この艇には私しかいないじゃないか。
「かは、ははは」
 気が狂れたように笑い続ける私を、重傷を負い甲板に寝そべったカタリナがただ見つめていた。
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