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二人の騎空士
The fate episode
二人目の騎空士
進行度 3/7
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。致し方ない、港まで走ろう」
 カタリナの言葉に頷き、私はグランに肩を貸す。火傷痕から血と組織液が溢れ、私の手と腕を掛けた首筋を濡らした。
「一人で行ける」
 絶叫しないのは流石としか言いようがない。私であればとうの昔に気絶していただろう。グランは本当に辛い時には黙ったままなのだ。
「そんな事を言ってる場合?」
 グランに問いかけて一歩を踏み出す。二歩目を歩みだしたところで、私は膝から力が抜け倒れた。
「そんな事言ってる場合か?」
 グランに同じ問いかけをされる。全身に力が入らない。疲労だ。絶望的なまでの疲労。
「一人なら歩けるだろ。港まではほど近い。急ごう」
 グランは泣き言を吐くことなく立ち上がり、私を一瞥した。
「先導は、俺の役目じゃないな」
 私は苦笑し、膝に手を付いて立ち上がる。彼の言葉通り、まだ一人でならば歩けそうだ。
「行こう」
 私は笑う膝を押さえながら、魁を努めた。
 港まで着くと、そこには既にビィが居た。いつの間にか消えていたと思えば、先回りしていたらしい。
「遅せえぞ。港の人たちに話を聞いたら、今出せるのは一艇だけだとよ」
 ビィが指差す先にはボロの小型飛行艇が一艇。恐らくは大型騎空艇に搭載されていた非常用のものだろう。
「動くのか?」
「丸半年は動かしてないし、二ヶ月は放置されてる。けどこれ以外に艇は無いって」
 カタリナの言葉にビィが苦々しく答える。ビィの言うとおり、港にこれ以外の艇は見当たらない。
「仕方ない、これに賭けよう。出向準備を急いで」
 私の号令に三人と一匹は頷き、直ぐに艇へ向かう。私は乗り込んですぐ船内に潜り込み発動機の元へ向かった。見ればグランとカタリナは帆や舵を点検している。
 燃料、潤滑油、その他発動機周りの点検をしていく。至る所が傷んではいるが、なんとか動きそうか。私は他の面子の様子を見るために甲板に上がる。
「カタリナ、グラン、進捗は」
「最低限の動作確認は終わった。ただワイヤーやロープ類の摩耗が激しい」
 グランの言葉に頷く。動くのならば問題はない。私は発動機元へ戻りながら、出港に備えるよう呼びかけた。
 発動機へ到着し、始動を図る。スイッチ類が始動位置にあることを確認し、始動用の紐を引っ張る。発動機はぶすぶすと唸りを上げて直ぐに止まる。一瞬、全身が硬直した。急いで紐を戻し、もう一度機器を確認する。何が駄目だった。この型は初めて見るが特殊な手法が必要なのか?
 後ろ手で船外とを隔てている扉が開く。振り返ればルリアが入ってきていた。私は無視し機器を確認する。何が問題だ。
「ジータ」
 ルリアの呟きを無視し、紐をもう一度思い切り引っ張った。発動機はまた気の抜けた音を発しすぐ止まる。
「燃料が酸化してるの? これくらいの変質じゃまだ動くでしょ」
 もう
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