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二人の騎空士
The fate episode
二人目の騎空士
進行度 1/7
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グランとビィは顔を見合わす。……初めて彼らに振る舞った食事は、作った私が言うのもあれだけど不味かった。もっと美味しくする努力をしてもよかったのではないかと後で自責する程度には不味かった。しかしそれを笑いながらグランとビィは食べてくれた。ようは、そういう人間とトカゲなのだ、彼らは。
「楽しみにしとくよ」
「楽しみにしとくぜ」
 グランとビィが屈託なく笑う。んー、なんというか、凄い有り難い反応ではあるんだけど、これで美味しいものが出来なかったら格好が付かないじゃ済まさそうだ。……しかし! 私に抜かりはない。今日はシチューだ。失敗する可能性が低い料理だし、既に下準備も完璧に済ませてある。あれ、よく考えたら時間がかかる料理を作ったら彼らに準備して居たことがバレてしまうのではないだろうか。
「ん、なんだあれ」
 悩む私の横で、ビィが空の一角を指差して言う。私もその方向を伺えば、大型の騎空艇がこちらに向かって来ていた。フライパス、という進入角ではない。墜落……?
「何ぼーっとしてるんだ、逃げるぞ!」
 グランに肩を叩かれてはっとする。先に駆け出す彼の後を追いかけるように急いで移動すると、先程まで立っていた場所に騎空艇が胴体着陸し、底面を擦りつけながら滑っていった。
「何だあれ」
 グランの呟きを聞きながら、過ぎ去っていく騎空艇を眺める。あの軍旗、確か。
「エルステ帝国軍の大型騎空艇? 何故こんなところに」
 私達の住むザンクティンゼルは通称「閉ざされた島」と言われる程に島外から来る者は滅多に居ない辺鄙な島だ。そんな場所に凡そ似つかわしくない艇。
「どうしようか」
 ビィの発言に悩む。あれを追いかけるべきか、それとも距離を置き避難するべきか。
「どうするよ、団長」
 思わず発言したグランを見つめる。彼は不敵な笑みを返してくれる。例え冗談だとしても、言ってくれるじゃない。
「行くわよ、副団長」
 私は頼もしい副団長さんに笑みを返し、艇が過ぎ去っていった方向へ駆け出した。
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